膣カンジダ症患者が急増…コロナも影響?

カンジダは、健康な女性であれば誰もが持つ常在真菌だが、疲労やストレスで免疫力が低下したり、抗生物質を常用していたりすると、常在菌のバランスが崩れるなどして異常繁殖を起こしてしまうという。

こうして起こる膣カンジダ症は、かゆみとともにヨーグルト状のおりものが多量に出るのが特徴的な症状で、発症したら早めに病院を受診することが望ましいとされる。

そして、膣カンジダ症の患者が増加しているという。はたしてコロナ禍(在宅勤務や新しい生活様式によるストレス、コロナ感染等)も影響しているのだろうか。

海老根先生は、「データはないが、コロナ禍で外来者数が減っているのにカンジダの患者数自体は増えているという点から、ストレスや座りっぱなしの生活様式も要因の一つとなっていることが考えられる」と言う。

統計が取れているわけではないので、「あくまで医師として日々患者と接しているところからの主観ではあるが」としつつも、新型コロナはカンジダ症とも無関係ではなさそうだ。

膣カンジダ症になりやすい日本の環境

そのほか、近年、パンティライナー(おりものシート)を常用する人が増えたこと、また、疲れが続いている、日常的に抗生剤をよく服用するという人が増えていることも、膣カンジダ症患者の増加の要因として考えられるそうだ。

パンティライナーをつけると、ショーツの中が常に蒸れてカビ=真菌が増殖しやすい状態になる。同様にストッキング着用による蒸れも、膣まわりの環境を悪化させる。

カンジダは普段は酵母のように無害な常在真菌だが、血液成分等に反応して病原性の菌糸状態に変化することが知られている。蒸れた状態で皮膚が擦れてしまい、その患部におりものが付着してしまうと菌糸等が繁殖し、カンジダ症を発症しやすくなると考えられる。

海老根先生は、外国籍の患者から「母国では同じ生活をしていてもカンジダ症にならないのに」をいう話を聞き、蒸れやすい日本の高温多湿の環境もカンジダ症を発症しやすい要因となっているのかもしれないと感じたそうだ。

一度菌糸感染が起こると真菌が居ついてしまい、免疫力がないと抑え込めなくなってしまう。拭いたり洗ったりしても無菌になることはないため、膣カンジダ症は繰り返しやすい病気となる。

まずは細菌が繁殖しづらい環境を作ること、体の免疫力を高めることが、膣カンジダ症で悩まないためのポイントと言える。

では具体的に、どのようにすれば予防できるのか。ここでは海老根先生のお話をもとに3つの対策を紹介したい。