川口春奈と目黒蓮は1年前から決まっていた!? 『silent』キャスティング秘話はこちら

ドラマ『silent』の盛り上がりは、SNSでのトレンド入りや、民放公式テレビ配信サービス「TVer」での累計再生回数を更新し続けていることからも見て取れる。特に印象的だったのは「TVer」でのみ配信された、本編内では描かれていない「4話エピソード0~紬と想と湊斗、8年前のある出来事~」だ。

これについてプロデューサーの村瀬氏に聞くと「実は4話の冒頭シーンだった」と教えてくれた。なぜ、本編に入れず、TVer限定公開という手法を取ったのか。前編では、ドラマ愛溢れる村瀬Pの原体験やキャリアとともに、話を聞いた。

【本日最終回】フジテレビドラマ『silent』村瀬プロデューサー「最終回直前なので言いますが…」_1
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本編の1シーンをTVer限定公開した理由は

――とうとう最終回を迎える『silent』は、TVerとの相性がいいですね。視聴率でヒットを語られることが多かった中で、斬新だなと思いました。

TVerに関しては、放送前から狙っていました。そこには『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(以下、『いつ恋』)のときの経験があります。今でこそ名作だったと語られる『いつ恋』ですが、当時は月9最低視聴率をマークした作品だったんです。

それが、放送終了から6年経った今でもTwitterのフォロワーは11万人が残ってくれていますし、FODの視聴ランキングでも常に上位にランクインしているんです。それを見て「ドラマはリアルタイムで見るだけでなく、何度も再生して見るという文化が根付き始めているな」と学びました。

それにラブストーリーって大人だけでなく、高校生、大学生はもちろん、小学生や中学生も少し背伸びして見たいものじゃないですか? だから、テレビを持っていない中学生・高校生・大学生がスマホで見ることも想定していました。

――「エピソード0」をTVer限定配信としたのも、そういう理由なのですね。

そうです。もちろん地上波でも見てもらいたいと思っています。でも、テレビを持っていない層を置いてけぼりにするのは違うなって思った時に、TVer限定で配信するエピソードがあるというのは、これ以上ない武器になるし、エピソード0をきっかけに再生回数が増えることもあるんじゃないかと淡い期待も持っていました。

――「エピソード0」は、これまでのスピンオフドラマに多かった“おまけ”的な立ち位置というよりも、見ると見ないとでは本編の印象がガラリと変わる内容だなと感じました。

もう最終回直前なので言いますが、実は「エピソード0」というのは第4話の冒頭だったんです。ただ、4話を編集してみたところ、尺が長くてですね…あのシーンを入れてしまうと、湊斗(鈴鹿央士)と想(目黒蓮)のロッカールームのシーンが60分の枠の中に入りきらなくなるという事態が起きてしまい……。それで、冒頭の数シーンをまるまるTVer限定で出したらいいんじゃないか、というアイデアを思いつきまして。

スピンオフのために撮影したシーンではないので当然なのですが、完璧に“本編クオリティ”ですし(笑)、光(板垣李光人)が想より湊斗のことをよく思っている理由を描いているので、本編を見る印象が変わるのだと思います。

――今回『silent』がTVerでの累計再生回数やお気に入り登録者数の記録を更新し続けているのを見て、ヒットの指標が視聴率以外にもあるのだなと実感しました。

そう言っていただけるとありがたいです。

『silent』は、地上波ドラマでありながら視聴率ではなくTVerでの再生回数で「大ヒット」と言われる記事が多く出ました。その意味でもヒットの新しいものさしを作れたんじゃないかなと思っていますし、世の中から新しいヒットの形を認められた気がして、すごくうれしいです。