2022年9月にTwitterで『GTA6』というワードがトレンドになった。『GTA』とは、正式名称を『グランド・セフト・オート』と言い、全世界で熱狂的なファンを持つアクションゲームシリーズ。
同年2月に公式SNSアカウントで最新作が制作中と発表されて以降、目立った情報がなかったが、突如9月に『GTA6(仮)』の開発中映像がハッキング&リークされるという出来事が起き、ファンは騒然。結果的に全世界がシリーズ最新作に大きな期待をよせる形になった。
そもそも、『GTA』とはどんなゲームなのだろうか。
「本シリーズは、アメリカのゲーム会社ロックスター・ゲームスが開発したクライムアクションゲームシリーズです。直訳すると『自動車重窃盗』となるタイトルどおり、主人公は道ゆく車を奪うなどの犯罪行為に手を染め、裏社会で生き抜いていくことになります」(ゲームクリエイター・飯田和敏氏。以下、「」は飯田氏のコメント)

世界で2番目に売れている犯罪ゲーム『グランド・セフト・オート』。開発中の最新作「GTA6」を徹底予想!
全世界を熱狂させてきたクライムアクションゲーム『グランド・セフト・オート』(GTA)シリーズ。6作目の開発中に映像がリークされ、さらに世界中の期待値が高まっている。なぜこれほどまでの支持を集めてきたのかをゲームクリエイターの飯田和敏氏に聞いた。
世界中を熱狂させてきた
大人気バイオレンスゲームシリーズ

ロックスター・ゲームス社 ロゴ
正式ナンバリングは現時点で5作目までだが、スピンオフ作品や追加ストーリーコンテンツなどを含めると、現在16作ほどリリースされている同シリーズ。実は世界的にヒットしたのは『GTA3』からだという。
オープンワールドゲームシステムで
世界に衝撃を与えた『GTA3』
1997年の1作目と1999年の2作目は2Dスタイルだったが、3作目『GTA3』からは3D化とオープンワールドゲームのスタイルを取り入れ、大ヒットを記録した。
「プレイヤーがマップを自由に動き回りながら、その中でさまざまなミッションをこなしていくオープンワールドゲームというのは、我々が生きている現実世界に近い構造なので、没入感が強くなるのが特徴ですね。
なかでも『GTA3』は、暴れ放題できてストレス発散になるアナーキーなゲーム内容と、オープンワールドゲームの自由度が合致したのが受けたのでしょう。とはいえ、こうした過激さは一部で批判もあり、『GTA3』は2005年に神奈川県児童福祉審議会から有害図書類指定を受けてしまいました」
開発元のロックスター・ゲームスがこうしたバイオレンスでアナーキーな要素を強く取り入れたのは、ギャング・マフィア映画の大ファンだからだそうだ。
「彼らは事務所に日本映画の『仁義なき戦い』のポスターを飾るほど、こうした映画に造詣が深いようです。これまで映画やドラマでは数多く描かれてきたアンダーグラウンド世界を、ゲーム業界でも真正面から描きたかったのでしょう」
5作目『GTA5』はシリーズ最大のヒット作であり“24時間で最も売れたビデオゲーム”、など合計7つものギネス世界記録を樹立。全世界での累計発売本数は1億6000万本にも到達した。シリーズでも『GTA5』が抜きん出て評価された理由はどこなのか。

『GTA5』は主人公が3人! 暴れん坊キャラ・トレバー(背景中央)はファンも多い
「一番はキャラクター造形ですね。本作はマイケル、フランクリン、トレバーという3人の主人公を切り替えながら操作する斬新な群像劇スタイルでした。なかでも本作のアイコンとも言えるトレバーは身なりもボロボロの最下層民というキャラクターで、私は彼に心を射抜かれましたね。
トレバーは、シリーズをプレイしてきた人がやってきた極悪非道な行為を擬人化したような、およそ主人公にはふさわしくない設定のキャラクターなのですが、ロックスター・ゲームスに『お前らこれまで散々暴れてきたんだから、トレバーの性格くらい問題ないだろ?』と頬を叩かれているような気さえします。
自分なりの哲学に準ずるストイックさや、仲間を決して裏切らない義理堅さなど、憎めない性格が垣間見えてくるのもかわいいんですよね(笑)」
『GTA6』は金字塔となった『GTA5』を
超えられるのかに注目
映像リーク事件で話題となったシリーズ最新作『GTA6』だが、本作にファンはどんな想いを寄せているのだろう。
「『GTA5』は今でも熱心に遊ぶファンがいて、いまだに隠し要素がゲーム内で発見されるなど、おそろしいほどのやり込み要素を含んだゲームなので、その最新作の製作にこれだけ時間をかけていることに、多くのファンがワクワクしているはずです。
一方で、ロックスター・ゲームスの制作コアメンバーが変更になるというニュースがあったことや、『GTA5』で世間の評価が頂点に達している感が強いこともあり、新作がこれを超えられるのかとソワソワしている部分もありますね」
そんな『GTA6』に飯田氏が期待している部分とは?
「これはリークされた情報からの推測になりますが、『GTA6』はシリーズ初の女性主人公を予定しているようで、ここには期待ですね。近年世界では人種や信条、性別などの違いによる偏見などを含まない、中立的な表現や用語を用いることを指す『ポリティカル・コレクトネス』に基づいた制作傾向が強まっています。
ですが、一方で過剰なポリコレがエンタメをつまらなくさせていると主張して、そうした作品を叩く人も根強く存在しています。実は『GTA』シリーズはこうした層からの支持がアツいゲームシリーズでした。だからこそ、新作で主人公に女性を据えるというのは、ロックスター・ゲームスが彼らに対して、『GTA』はお前らの仲間じゃない、と宣言しているように感じられるのです」
最新作は物語の舞台が過去作で描かれた街であることも、特筆ポイントだという。
「本作は、2006年に発売された『グランド・セフト・オート・バイスシティ』と同じ、バイスシティが舞台と噂されています。マイアミをモデルにした夕日きらめく街が最新グラフィックで見られるのは興奮しますね。

プレイすると次第に見えてくる“街の全体像”こそが『GTA』シリーズの魅力なのか
バイスシティを再度舞台にしたのは、ロックスター・ゲームスが“街”という存在をこれまで以上にテーマとして意識しているからではないでしょうか。
実は『GTA5』のエンドロールには、物語の舞台になったロスサントスの街並みが映し出されるのですが、プレイ当時ふと、真の主人公は街そのものだと思ったのです。群像劇の果てに見えてくる、まるで生き物のような街の全体像。
『GTA6』で過去の舞台をもう一度掘り下げるのは、過去作の出来事も含めてより豊かに“街”を描写しようという試みなのかもしれません」
アンダーグラウンドな世界を体感できる傑作ゲーム『GTA』シリーズ。最新作『GTA6』ではいったいどんな体験を与えてくれるのか、今からワクワクが止まらない。
取材・文/TND幽介/A4studio
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