#1 ピエール瀧が東京23区の夜を徘徊して見つけたものはこちら

夜の徘徊、それは万物への愛

――瀧さんは今回の書籍のあとがきで、前作のときと比べて自分も東京も変わっていて、一緒に歩くメンバーの状況も変わっていて、それらの掛け合わせで生まれるものが面白いというお話をされていて。変化に対してポジティブでいられるのもいいなと思いました。

まあ、仕事の内容や住む場所とか環境が変われば人は変わっていくし、世の中も変わっていくわけで。出家でもしないと、変わらないって難しいと思いますよ。出家して毎日変わらないように生活していても、考え方が変わるでしょうし。

世界規模で同時に全部のことが変わっていって、すべては見られないですから。空き缶がぺちゃんこになってるとか、なんでここにランニングシャツが落っこってんだろうとか、あそこの柿の実が1個だけなってるなとか、そういう一瞬一瞬を楽しむっていう……だから、愛ですかね。今、話しながら、まあまあキレイにまとまりそうだから、愛って言っちゃえって(笑)。

すべての肩書がとれたピエール瀧が大切にする表現者としてのマナー。「ムダにするのは、時間かお金かのどっちかですね。両方はやりすぎです」_1
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――(笑)。あの、何に対する愛ですか。

すべてに対する愛。森羅万象。

――落っこちてるランニングシャツにも(笑)。

愛ですね。落っこちてくれてありがとうって(笑)。ひとりで味わいながら歩くのもいいんですけど、気の合う仲間と歩くと、「あれ、どういうことだと思う?」「上から落っこちてあそこに来たんじゃないですかね」とか話せるから、頭の違う部分が刺激されて面白いですよ。構えを解いて歩いてますから、すんなり受け入れられて。

――それが愛、っていうことですね。

そう。結局、愛なんでしょうね。

――なんでしょうね(笑)。

はい。見出しになるやつですよ。「結局、愛なんでしょうね」(笑)。