東京にある目黒寄生虫館は、「寄生虫」を専門に扱う研究博物館だ。医学博士の亀谷了氏が私財を投じて1953年に創設し、国内外から集められた約300点の標本と関連資料が展示されている。
また、寄生虫に関する研究活動や啓発活動、出版活動など様々な事業も展開。創設者の意思により、開館から現在に至るまで無料で見学を受けつけている目黒寄生虫館。
同博物館は運営する財団の資産運用益のほか、有志の方からの寄付金やミュージアムグッズの販売収益などで賄われている。そんなグッズの中で、特に人気なのは何なのか。事務長の亀谷誓一さんにグッズ制作の裏話を聞きつつ、ランキングを発表しよう。

ビル・ゲイツもご購入! 東京・目黒寄生虫館のミュージアムグッズ人気TOP5
2022年8月、マイクロソフト創業者として知られるビル・ゲイツ氏が目黒寄生虫館を訪れたことが話題になった。ビル・ゲイツ氏は、寄生虫の奥深い世界を堪能すると共に、お土産として同博物館のグッズも購入したという。そこで今回は、ミュージアムショップの売上ベスト5を目黒寄生虫館 事務長の亀谷誓一さんに聞いてみた。
デザインリニューアルで爆売れ!
第1位:定規 300円

堂々のグッズ売上No.1に輝いたのは、寄生虫のイラストがプリントされている定規。
300円とお手頃価格で、サイズもコンパクトで購入しやすい。お土産にもぴったりだし、自分用にもおすすめだ。
「2007年にデザインをリニューアルしています。以前のデザインは業者さんに作ってもらったもので、寄生虫の見た目がかなりデフォルメされていたのですが、学術的に正しくない部分もあったので。現在のリアルなデザインにしてから売上は伸びましたね」(亀谷さん。以下、「」は亀谷さんのコメント)
ちなみに、定規だけでなく、目黒寄生虫館のグッズは定期的に新商品を考案したりリニューアルしたりしている。その際のデザインは、亀谷さんをはじめとする同博物館のスタッフで考案しているという。
これぞ“寄生虫館”ならでは! 本物が手に入る
第2位:封入ストラップ(アニサキス幼虫) 1,700円

第2位は、樹脂の中に寄生虫のアニサキスが封入されたストラップ。作り物などではなく、同ミュージアムの研究員が魚から採集した本物のアニサキスだというから驚きだ。
「このストラップの型自体は業者さんがグッズやノベルティ制作用に販売しているものを使用しています。もともと四つ葉のクローバーが封入されたストラップが売られているのを知り、その業者さんにコンタクトをとり、『四つ葉のクローバーのかわりに寄生虫を入れたい』と要望して制作しました」
ちなみに、封入ストラップのラインナップはアニサキス幼虫のほかにニベリン条虫の幼虫とミヤイリガイがある。ビル・ゲイツ氏が購入したのはミヤイリガイ封入ストラップだ。
第3位:クリアファイル(イラスト) 400円

第3位は、寄生虫のイラストがプリントされたA4サイズのクリアファイルだ。
クレヨン風のタッチで描かれているのは、12種類の寄生虫。クリアファイルの背景は白で、イラスト部分は透明になっている。館内の標本棚や、サナダムシの標本の写真をプリントしたクリアファイルも販売されており、リアルな寄生虫のビジュアルは見応えたっぷり。
クリアファイルはいくつ持っていても無駄にはならないので、プレゼントにもぴったりのグッズだ。
普段使いも可能!
第4位:ボールペン(サナダムシ)550円

第4位は、ボールペン。「人の寄生虫」「サナダムシ」の2種類のうち、台紙にサナダムシがデザインされたシルバーの柄が人気。パッケージには「目黒寄生虫館に行ってきました」と書かれているので、お土産にも最適だろう。
「もともとシャープペンシルを販売していましたが、ボールペンもほしいというお客様からの強い要望を受けて制作しました。学校やオフィスでの普段使いに便利ですよ」
第5位:3連キーホルダー 1,200円

3つのチャームのうち、水色はトリパノソーマ、黄緑は有鉤条虫(頭部)、ピンクはフタゴムシをデザインしたものである。
「2002年から販売されているロングセラー商品です。一般的にこういったグッズは業者さんが販売する”ありもの”の型を流用して作ることが多いと思いますが、この3連キーホルダーは寄生虫の独特の形を再現するため、オーダーメイドで制作しました」
なお、3連キーホルダーと似たグッズが、林遣都×小松菜奈のW主演による映画『恋する寄生虫』の原案小説の表紙イラストにも登場している。同作品には目黒寄生虫館も出てくるので、ぜひチェックしてほしい。
学術的なこだわりが“のりづけ部分”でわかる!
番外編:フタゴムシふせん(ピンク・ブルー)各550円
最後に発売されたばかりでまだランキング外ではあるが、亀谷さんがイチオシグッズとして紹介してくれたのがフタゴムシふせん。

フタゴムシは淡水魚のエラに寄生する寄生虫で、様々なグッズに登場しているほか、創設者の亀谷了氏がライフワークとして研究を続けてきたことから、目黒寄生虫館のロゴに採用されている
「業者さんのテンプレートを流用するのではなく、フタゴムシのフォルムに沿ってふせん自体の形を作成しました。のりがふせんの上ではなく下側についているのもこだわりのポイントです。フタゴムシは体の後端にある把握器という部位で魚のエラをつかんで寄生するので、のりをつけるのは絶対に把握器のある下側にしたかったのです」
ということで、目黒寄生虫館の人気グッズTOP5を紹介した。グッズはミュージアム内のショップのほか、オンラインでも購入できる。寄生虫を専門に扱う博物館は世界でも珍しく、まさに唯一無二。同ミュージアムを訪れた際は、応援の意味も込めてぜひグッズを購入してほしい。
※本文中の価格は、取材時の2022年11月時の税込価格です
取材・文/山田井ユウキ 撮影/井上たろう
公益財団法人 目黒寄生虫館

153-0064 東京都目黒区下目黒4‐1‐1
TEL 03-3716-1264(音声案内)
FAX 03-3716-2322
開館時間 午前10時~午後5時
休館日 毎週月曜日・火曜日/年末年始
(月曜日・火曜日が祝日の場合は開館し、直近の平日に休館)
入館料 無料(ご寄付にご協力ください)
HP: https://www.kiseichu.org
ミュージアムショップページ:https://www.kiseichu.org/museumshop
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