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介護休業制度を理解し、上手に活用する

いかなる企業であっても、法律には逆らえません。そして、介護のために休んだり(介護休業・介護休暇)、残業を拒否できたり(残業免除)、また、そうした行為によって不当に扱われない(介護ハラスメント防止)ということは、日本の法律で決まっています。

法律とは最低限の倫理にすぎませんから、企業によっては、こうした法定の制度を大きく超えて、より仕事と介護の両立に悩む従業員のための制度を整えているところもあります。

今後は、健康経営の評価指標として、ビジネスケアラー支援の拡充が求められますから、こうした法定の制度を超えていくことは、より一般的なことになっていくでしょう。

もちろん、法定の制度を理解して、それを上手に活用していくことは、仕事と介護の両立をするうえで大切なことです。しっかりと、人事部(人事部がない場合は上司や経営者)と話をしながら、当然の権利を確保することを忘れないでください。

ただし、ここでどうしても注意しておきたいことがあります。それは、法定では対象1人につき3回まで、通算で93日まで認められている介護休業の実際の使い方です。

当然の権利だからということで、1回で93日をめいっぱい休んでしまうと、かえって介護離職のリスクが高くなるかもしれないのです。

平日平均2時間、休日平均5時間以上を介護に使ってしまう人は介護離職する…しかし、ビジネスケアラーが長期の介護休業をとるのはNGなのはなぜ?_1
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介護休業を長期でとるのはおすすめしない

マスコミでもよく取り上げられる引きこもりは、なにも、子どもにだけ起こることではありません。社会人にも引きこもりは起こります。これまで引きこもりとは無縁の人生をおくってきた人にとって「ちょっと休む」ことの怖さは、なかなか実感できないかもしれません。

しかし引きこもりに至る心理的なプロセスは、意外と誰にでも起こりえるものであり、そのはじまりは「ちょっと休む」ことなのです。実際に、社会人が引きこもりになる理由として最も多いのは「ちょっと休む」結果として、どんどん職場に適応できなくなってしまうことが最多(28%)なのです。

きっかけは、「仕事と介護の両立がストレスだから、ちょっと休んでゆっくり介護したい」だったとしても、介護のために93日も連続して休んでしまうようなことになれば、それ以前にあなたが行っていた仕事は、他の誰かに引き継がれているでしょう。そうなると、職場に復帰しても、あなたの仕事はもうないかもしれません。

こうした場合「自分がいなければ仕事にならない」といった自尊心は、復帰するときには砕かれています。自分があまり必要とされていない職場に、自分が戻る理由は、どこにあるのでしょう。そんなことをグルグルと考えはじめると、もう1日くらい休んでおくかという気分にもなります。

さらに、介護の実態を考えても1回で93日を取得することはすすめません。介護休業をとるにしても1回でとらずに、3回に分けてとり、介護初期のパニック期やアクシデントが起きてその対応に時間がかかりそうなときにとるようにしたほうがいいでしょう。介護のめどがついたとはいえ、復帰してからも、介護のために再び休む必要が出てくることもありえるからです。