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中国の国家主席や国務院総理が訪日した際に、天皇陛下と総理大臣以外でほぼ必ず面会する人物は誰かご存知だろうか。それは創価学会名誉会長で、SGI会長の池田大作だ。創価学会は文化大革命中の1960年から中国への接近に強い関心を見せ、1972年の日中国交正常化にも少なからず貢献。池田大作自身も10回にわたり訪中をおこなっている。

中国外交は、過去に世話になった「井戸を掘った人物」(孫文の友人だった宮崎滔天や、国交正常化時の総理だった田中角栄などもそうだ)に対しては数世代先までお礼の挨拶を欠かさない習慣があり、中国要人訪日時の「池田詣で」も、ひとつはそうした意味があるのだろう。

中国側から見た創価学会は、日本で最も大規模でしかも権力を握っている(創価学会を支援母体とする公明党は日本の与党だ)日中友好団体だ。当然、政治的な利用価値を見出されていることもいうまでもない。

仏教版ディズニーランド?

いっぽう、台湾には創価学会とやや似たポジションの仏教系の宗教団体がある(もちろん否定的な意味で言っているわけではない。念のため)。その名は佛光山という。

ちなみに、創価学会が、伝統仏教の日蓮正宗の講(信徒組織)が本山と決別して教団化したことで「新宗教」とされているのに対して、佛光山は教義面では中国臨済宗(日本の臨済宗は約800年前の栄西の時代にここから分かれている)の法系を継いでおり、伝統仏教の枠内にある。ただ、台湾の伝統仏教4大教団のうちでは最も派手でキャラ立ちした――。人によっては、「アクが強い」と見られがちな教団でもある。

仏教版ディズニーランドが伊香保温泉に? 台湾寺院はなぜ日本の観光地に根付くのか?【急増する異国の信仰施設】_1
超巨大な本堂に鎮座する御本尊。伊香保の法水寺にて(撮影:Soichiro Koriyama)
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佛光山は、日本を含む海外に約200施設を展開。ほか、世界各国に多数の大学を開設し、さらに仏教学院ほか各種学校や老人ホーム、出版社、衛星テレビ局、茶館などの多角経営も行っている。

なかでも高雄の大本山である佛光山寺は、台湾最大級の仏教聖地として知られるいっぽう、現地のメディアから「仏教版ディズニーランド」と書かれるほど、一般人向けの娯楽や観光にも力を入れている施設だ。事実、高雄の佛光山寺は観光地として有名で、日本でも20年以上前から『地球の歩き方』などの観光ガイドブックに掲載されている。

こうした方針は、2023年2月に95歳で遷化(逝去)した佛光山教団の開祖・星雲(釈星雲、星雲大師)が唱えた「人間仏教」の考えにもとづく。最初は娯楽や実利が目的だったとしても、とにかく佛光山に近づいてもらうことで、仏法は広がるという考えなのだ。