#2 宇喜多直家の主君、浦上宗景登場
#3 仇と、自分の妻の父を討つ!?
#4 遂に始まる、宇喜多直家の血塗られた歴史

戦国の世のダークヒーロー

北野武監督の最新作『首』が2023年の秋に公開される。現在放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』でもおそらくこの後描かれる、「本能寺の変」が題材だ。天下統一目前だった織田信長が、臣下・明智光秀の謀反により命を落とした歴史的事件。未だに謎が多く、真実が判明していないが、智略と謀略の限りが尽くされたことはおそらく間違いないだろう。

裏切りや、人の命に対しての残虐な行いが常であった戦国の世で、特にその非道さから戦国三大梟雄(せんごくさんだいきょうゆう)と呼ばれた武将がいることを知っているだろうか。

そのうちの一人である宇喜多直家の、謀略と暗殺にまみれた生き様を、歴史4コマの名手・重野なおきが描いた『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』という漫画が今話題である。

なぜ彼は不名誉なかたちで歴史に名を残すことになったのか、これまで忌み嫌われてきたダークヒーローに光を当てた理由を、担当編集者に話を聞いた。

――率直に、歴史的にはそこまで有名とは言えない宇喜多直家を、重野先生が主人公として取り上げようと思った経緯を教えてください。

初登場は『軍師 黒田官兵衛伝』(白泉社)ですが、本作で主人公として選ばれた理由は単純に〝暗殺〟という絶対的な個性から漫画キャラクターとしての勝算を重野先生が持っていたからですね。

松永久秀(まつながひさひで)や斎藤道三(さいとうどうさん)と並んで三大梟雄と呼ばれ、その悪名ゆえ主人公目線で描かれることも少ない人物なので「なぜ悪名の道を歩んだのか」をしっかり描くことで、知名度の高いメジャー武将とひと味違った作品になるかもという期待感もありました。

――今回の作品の元ネタとされている『備前軍記』でも、暗殺を多用したところから、恐れられた存在だと描かれています。もちろん個性ではあると思うのですが、主人公としては暗い存在なのでは?

歴史に登場する英雄の魅力って千差万別だと思うんですが、宇喜多直家には目的達成のために一番合理的かつ最短距離を選択できるピカロ的な魅力があります。

暗殺という手段で自らの名を落としてでも彼が求めたものは何だったのか、そこに着目してもらえると哀愁あるダークヒーローとしてのカッコよさが見えてくると思います。


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