後編はこちら

国内400店舗以上から30店舗程度に縮小

「ドムドムハンバーガー」は、1970年に日本で創業した老舗ハンバーガーチェーンだ。

もともとダイエーの子会社であるオレンジフードコートが運営していたこともあり、1990年代にはダイエー内を中心に400以上の店舗を展開。しかし、その後はさまざまなファストフードチェーンの台頭や、ダイエー自体の業績悪化に伴い、店舗数は徐々に減っていった。また、同チェーンの事業部は、複数の資本関係のもと、転々と変わっていくことになる。

2017年以降は、レンブラントホールディングスのグループ会社であるドムドムフードサービスが、その運営を担うようになった。当時は全国に36の店舗が展開されていたが、現在はさらに少し数を減らし、28店舗(ドムドムハンバーガー27店舗+ドムドムハンバーガープラス1店舗)が残っている。

Z世代のファンも急増中。オリジナルグッズも絶好調な「ドムドムハンバーガー」が、“絶滅寸前”から復活できた理由_1
2022年7月に東京都中央区銀座にオープンした「ドムドムハンバーガーPLUS」
すべての画像を見る

そんなドムドムハンバーガーがここ数年、勢いを増している。カニを一杯そのままバンズに挟んだ「丸ごと!!カニバーガー」や、厚焼きたまごを挟んだ「厚焼きたまごバーガー」、バンズの代わりにカマンベールチーズでパティを挟んだ「丸ごと!!カマンベールバーガー」など、インパクトのあるメニューを数多く提供し、SNSを沸かせた。

こうした攻めの姿勢が功を制し、2021年3月期決算には黒字化を達成。翌2022年3月期の決算でも黒字を継続した。この業績V字回復の立役者が、2018年に代表取締役社長に就任した藤崎忍氏である。

「私たちは、“美味しいのはお客様との最低限の約束”というコンセプトのもと、それに準ずる商品であれば何でもチャレンジする方針を取っています。ファストフードのオペレーションとしては、誰でも作れるために簡単な工程であることが重要なので、そういった点でハードルはあるのですが、そういう事情を気にするのは辞めましょう、と。

今、“美味しい”はどんな店でも当たり前になっています。コンビニスイーツも本当に美味しいものばかり。なので、我々はそれ以上に価値のある商品を作らなくてはなりません。オペレーションも、価格も、見た目も気にしないでいいから、発想が凝り固まらないようにしようと常に意識しています」(藤崎社長)

Z世代のファンも急増中。オリジナルグッズも絶好調な「ドムドムハンバーガー」が、“絶滅寸前”から復活できた理由_2
株式会社ドムドムフードサービスの代表取締役社長・藤崎忍氏(写真提供/株式会社ドムドムフードサービス)