ようやく参加できた会見で見えた保坂区長の実像
保坂区長は11月の会見でフリー記者排除について筆者や寺澤氏に問われると、「今後はフリーランスだからという理由で会見に入れないことが二度とないように徹底したい」「そういう対応がきちんと伝えられなかったことは私の責任」等と述べて、頭を下げて謝罪。
しかし、これまでの経緯、当日の質疑内容、筆者が360度カメラで撮影した会見室の実態(下記のYouTube動画参照)を踏まえると、この問題を本気で改善する意思があるのか疑わしいと言わざるを得ない。
<会見映像の主な内容>
0分37秒〜6分54秒:筆者が「フリー記者の会見排除」「質問 事前提出の要求」等を質問
8分47秒〜11分51秒:フリー於保清見氏が「区史編纂事業の著作権侵害、ハラスメント」を質問
11分52秒〜20分10秒:フリー寺澤有氏が「フリー記者の会見排除」「区長の職務放棄」「国政復帰の考え」等を質問
筆者は会見前に世田谷区役所を可能な範囲で下見し、感染対策と定員増を両立できる広い会場(定員60名超の「ブライトホール」というイベントスペース)が第3庁舎に存在することを確認している。
会見場所を変えるだけで定員を増やせる事実を筆者が指摘すると、保坂区長からは「記者会見の寸前まで様々な調べ物などしているため、区長室もある現行の第1庁舎が望ましい」という趣旨の曖昧な答えしか返ってこなかった。しかし、第1庁舎と第3庁舎の建物は道路を挟んで向かい側に位置しており、徒歩30秒程度で移動できるほどの至近距離である。
これらを鑑みるに、やはり世田谷区は記者人数を制限するためにコロナ対策を悪用したと判断せざるを得ない。現に、会見終了後に区職員(広報広聴課)に会見場をブライトホールに変更できない技術的・物理的理由は存在するのか改めて確認したが、明確な回答はなかった。
さらに、経緯で紹介した通り、保坂区長がフリー記者排除について頭を下げてまで謝罪して再発防止の徹底を宣言した会見においても、実際は職員によるフリー記者 差別(先着10名の開催連絡の連絡時刻が一斉ではない 等)を続けていた。
この事実を保坂区長も認識していたならば謝罪は真っ赤な嘘であり、認識していないのであれば職員が区長の謝罪すらも台無しにしたと言える。
また、保坂区長は過去に首相会見の質問の事前提出による予定調和な質疑を繰り返し批判しながら、フリー記者が参加することになった11月の会見からは質問の事前提出を要求。
世論調査で強く違和感が示される強行突破をしておいて、総理が「冷静に、ひとつひとつ丁寧に説明し、真摯に対応していきたい」と語る会見をすることは理解できる。その言動に、何ら反発をせず平常心で予定調和の質疑に終始する記者会見に違和感を持つ。反省をどう実行に移すのかとの質問さえもない。
— 保坂展人 (@hosakanobuto) June 19, 2017
仏リベラシオン紙記者が酷評「菅首相は本当の記者会見をしたことがない、安倍前首相よりひどい」(日刊ゲンダイ) https://t.co/idkwozzuKg
— 保坂展人 (@hosakanobuto) December 29, 2020
自分の言葉で語っていません。記者が事前に質問を伝えて、官僚が作った回答の原稿を読み上げているだけです。それを記者は一生懸命、カチャカチャとタイピング
この矛盾を会見で筆者が指摘すると、保坂区長は「時間を無駄にしないため、問題に答えられる管理職を用意するため」と回答。
しかし、これは自らが批判した首相会見にも当てはまる話であり、国政を厳しく批判してきた一方で自らには甘い保坂区長の姿勢が浮き彫りになった。
*11月会見の質疑詳細は、筆者がtheletter「犬飼淳のニュースレター」で公開した「保坂区長の謝罪すらも台無しにした世田谷区職員の二枚舌対応」を参照