人に頼るとか、甘えることで生まれた変化

成功や失敗に対する世代間の感覚の違いという視点もおもしろいが、昔から彼女を追いかけているファンならば、広末涼子さん自身の変化という〝違い〟も感じとっているはずだ。

ある時期までの広末さんは、あまりプライベートを語ろうとしなかった。それは、令和、平成を超えて昭和の匂いすら漂う「芝居だけで勝負する」という職人気質っぷり。

おそらく、役者のプライベートが知られると役柄にも反射してしまい、見る人に先入観を持たせてしまうことを嫌ったのであろう。でも、現在の彼女は、このインタビューに限らず、家族とのエピソードを隠さない。

<最新写真集発売・広末涼子独占>「最終的に背中を押してくれたのは、『やればいいじゃん』という家族の言葉でした」_3

「年齢的に母親役が増えてきたことも大きいと思います。実生活でも母親なのに、自分の子どもの話も家庭の話もまったくしないのが、逆に不自然だと感じた時期があって。それまでは、たとえば母親とはまったくかけ離れた役柄を演じる時に『え? でもこの人、ママじゃん』と見る方に先入観を持たれることが邪魔になるかもと感じていたんです。

たぶん、自分が見てきて、憧れていた役者の先輩方は、私生活が見えないミステリアスな部分があったんですよね。かっこいいなって。だから、私生活の話をあまりしてこなかったんです。

でも、話さないことで誤った先入観を生んでしまったり、変に隠しているように思われてしまったりしたこともありました。そんなこともあり、もうそういう時代じゃないかもと思うようにはなりました。

あと、私自身の変化もありました。私、ちっちゃい頃から負けん気の強さみたいなのがあって、その上、スポーツで勝敗への執着とか努力することの重要さみたいなものを培ってきたから、どうしても泣くのはずるいとか思っちゃうんですよね(笑)。

でも最近、人に頼るとか、甘えるとか、弱みを見せることって、とても大切だと思うようになってきました。泣くのはずるいと考えていた今までの私の生き方とは真逆ですね。

いっぱいいっぱいになって、その結果、体調を崩したとしても、人に相談して解決しないし、自分で乗り越えていかなきゃいけないことだし、自分が引き受けた仕事は自分でやるしかない。

それをいちいち愚痴ったり悩んだり誰かに話してもしょうがないと思っていました。そういう時間がもったいない、1日は24時間しかないんだからって。でも、人に頼るとか、甘えるとか、弱みを見せることで、私を助けてくれる人がいることに気づけたり、私の本質を知ってくれる人が増えて。

一生懸命、強く頑張るだけじゃ生み出せないものもあることを知れたのは、私の大きな変化だと思います」