全3回の3回目/#1#2を読む

トム・ホーバスは名指導者

 トムの指導の特徴は、何といっても「細かい」ということです。初めて指導を受けたとき、その細かさに舌を巻き、「この人、本当にアメリカ人?」と疑ってしまうほどでした。アメリカ人はもっと自由で、細かいことにはあまりこだわらないと想像していたのです。しかし、それは単なる私の誤った思い込みでした。

 私がどう想像しようとトムの細かさは変わらないので、以降、私は彼を〝昭和の日本人〟と思うことにして、覚悟を決めるのです。2017年に代表のヘッドコーチに就任するまでの7年間、トムはJXサンフラワーズ(現ENEOSサンフラワーズ)でコーチ、アソシエイトコーチ、ヘッドコーチを歴任しています。サンフラワーズはこの間、ずっとリーグ優勝に輝いていました。

 そんな実績を持つトムの指導を実際に受けてみて、サンフラワーズ連覇の理由を私はすぐに理解できました。

 トムが名ヘッドコーチだと言われるのは、厳しいところがある一方でコミュニケーションを取るのが上手だからでしょう。代表チームの合宿の場でも、練習前には選手たちに声を掛け、バスケ以外のことでも会話を交わせる雰囲気を作ってくれました。練習が始まり、選手に対して厳しい注意をしたときは、練習後に必ず「さっきの注意はこういう意味だよ。次はこうやってみよう」とフォローアップしてくれます。こうしたコミュニケーションが繰り返されるうちに代表チームはまとまっていきました。