ボディビルに「50歳の壁」
シワ伸ばしにたるみ隠し⁉ 68歳という高齢を逆手に、さっそく記者を笑かしにかかってくるあたりは、さすが関西人……と感心していたら、どうもそうではなかったみたい。
「優勝の秘訣はシワ伸ばし」と語るその表情は真剣そのもので、これこそが年齢を乗り越えて優勝できた一番の理由だという。
――シワのばしのテクニックと年齢克服の関係について、詳しく教えてください。
「ボディビルは50歳を過ぎると、いくらトレーニングしても、効果が出にくくなります。わたしもその『50歳の壁』にぶち当たり、スランプになりました。そんな時、『ピラティス』と巡りあったんです」
「ピラティス」とは第一世界大戦時に、負傷した兵士のリハビリのために開発されたエクサイズ+呼吸法で、体の深層部にあるインナーマッスルを強化し、体全体のバランスを整えることで、しなやかな健康体を取り戻せるとされている。
丹羽さんが続ける。
「ピラティスを活用すると、負傷した兵士はベッドに寝たままで体の機能を回復させることができるんです。このピラティスにインスピレーションを得て、若い頃のように健康で美しい体を取り戻す呼吸法を開発したんです」
丹羽さんによれば、老化とは体の中が縮んでインナーマッスルが衰えてゆくことだという。
「だから、若いボディを保つには逆に体の中を拡げ、インナーマッスルを育てればよい。
そのためには骨と骨の間を拡げ、そこに血液をたっぷりと送り込む。そうすることで、体を若いころのようにシワのない、柔軟で膨らんだ状態にできるんです」
――血流をよくする具体的な方法を教えてください。
「あれこれと試行錯誤をするうちに、血液の流れがよい状態とは、ふわ~と息を吸って体の中が拡がった状態だという感覚が少しずつつかめてきたんです。具体的には背伸びしながらあくびをし、大きく息を吸い込む。基本はこれだけでOKです。つまり、『背伸びあくび呼吸法』。
この呼吸法で目いっぱい空気を吸い、血流をよくして骨と骨の間に新鮮な酸素を送り込むことで、体は若いころのようにしなやかな状態に変わってゆきます」