実施率は中学校10.6%、高校7.1%……課題は?

がんにまつわる教育が充実することは、日本全体の健康促進にもつながる。しかし、課題も大きい。

令和4年9月に公開された「令和3年度におけるがん教育の実施状況調査」の結果によると、「外部講師を活用したがん教育を実施しましたか」という項目に対し、「実施した」と答えたのは中学校段階では10.6%、高校段階ではわずか7.1%にとどまった。

その原因について、日本対がん協会広報の今井氏は「外部講師の確保が難しい地域がある」ことにあるという。がんについて詳しい医師や、自身もがんと闘っているがんサバイバーは多いとしても、講演をしてくれるかどうかは別問題だ。

「がん患者は、どう接してほしいと思いますか?」全国の学校で必修化した「がん教育」で学ぶこと_02
がんサバイバーが学校に行き、直接子どもたちに伝える様子(日本対がん協会)

各地の教育委員会では外部講師紹介の窓口を設置するなどして、人材の確保に努めているが、全ての学校で満遍なく指導が行われるようになるにはもう少し時間がかかるだろう。

人生に大きく関わる「がん」という日本人共通の課題を、全ての子どもたちが学校で考え、向き合っていけるような教育が望まれている。

参考資料
がん教育(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1370005.htm
外部講師を活用したがん教育ガイドライン(令和3年3月 一部改訂)
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/20210312-mxt_kouhou02-1.pdf