高級食材、ブランド牛にこだわる店
そこからさらに10年ほどで一部の焼肉業界に広がったのがウニやキャビア、トリュフといった高級食材を牛肉にあわせるという荒業だ。最近では短い季節限定で、花山椒や松茸を扱う焼肉店も少なくない。
そしてここ5年ほどで急速に増えたのが、但馬牛を筆頭とした希少で高級なブランド牛の仕入れで、さらに牛飼い名人と呼ばれるような生産者の名前も前面に押し出した牛肉をウリにする焼肉店が増えてきた。
これまでは一部の高級ステーキ店でしか見ることが出来なかったレベルの牛肉が、今では焼肉店の方が多く見かけられるほどだ。
また、タンやハラミといった焼肉に欠かすことのできない部位は、正肉以上に値上がりしているだけでなく、高級焼肉店ではそれらを厚切りで提供するのがスタンダードにもなっている。
ここまでくれば、今の高級焼肉店の価格が決してボッタクリでないことは分かる。
仕入れを考えれば、適正な価格なのだろう。
しかし、こういった高級店がひしめき合っているがいる中だからこそ、残念な焼肉店が存在することは否定できない。
ウニやキャビアといった高級食材と牛肉との相性を考えずに、ただ闇雲に合わせているお店がある。これでは牛肉だけで食べた方が美味しいだろうと思えるほどだ。
また、せっかく最高級の牛肉を仕入れても、カットや味付けへの研究が不十分で、素材の持ち味を活かせていないお店も多い。