まじめに生きるのって損ですか? 平凡な女子の悩みはどこまでも続く

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『まじめな会社員』
冬野梅子・著 全4巻 (各)¥715 講談社
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まじめな性格で地味な外見、彼氏もいないし仕事もさえないアラサーのあみ子。東京らしい華やかな生活を夢見て少しずつ動き出すも空回りするばかり――。社会や人間関係の問題に鋭く斬り込みながら女子たちのリアルを自虐的に描く、せつなおもしろ青春コミック。

 これはぜひノンノ読者のみなさんにも読んでほしいなあと思った作品。主人公のあみ子は親の言うことをきき、世間の空気を読んで「いい子」として生きてきたのに、なぜかぜんぜん幸せじゃないしお金もない。これって誰が悪いんだろう? いい会社に就職できなかった自分のせい? それとも社会のせい? じゃあどうやったら幸せになれる?
 そんなことをしみじみ考えさせてくれる漫画ではあるのだけど、あみ子の脳内に沸き上がる愚痴、不満、自己卑下の入り混じった考察はめちゃめちゃ情報量が多くて、どこかユーモラスで笑ってしまう。ふだんから「考えすぎ」「気にしすぎだよ」ってよく言われる人はきっと共感すること間違いなし。
 あみ子がもがく姿は、「イタい」と誰かに笑われるのかもしれない。でもこれを読んだら絶対あみ子を応援したくなるし、器用に生きられない自分のことも少し好きになれる気がします。

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『嫌いなら呼ぶなよ』
綿矢りさ・著 ¥1540 河出書房新社

妻の親友が主催のホームパーティに参加した霜月だったが、彼を被告としたミニ裁判が突然始まる。表題作のほか、整形と好奇の目、YouTuberとファンの距離感などをテーマに、心に潜む"明るすぎる闇"を描いた全4作を収録。

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『あなたのなつかしい一冊』
池澤夏樹・編 寄藤文平・絵 ¥1870 毎日新聞出版

幼い頃出会った本、迷った時に手に取る本……etc.。作家、翻訳家、俳優など50人が選ぶ"自分だけの特別な一冊"をまとめたブックガイド。新たな作品と出会うきっかけがもらえるのと同時に、選者の人生や原点にも触れられる。

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『「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か』
久保(川合)南海子・著 ¥946 集英社

認知科学から提唱された概念「プロジェクション」によって、"推し"にまつわる行動をひもといていく。推し色ネイル、ぬい撮り、応援上映……。誰かを"推す"時、心と世界には何が起きているのか?を言語化してくれる1冊!

2022年11月号掲載

選書・原文/花田菜々子 web構成/轟木愛美 web編成/ビーワークス

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