――想像を超えて表現されていた部分とは?(以下、ネタバレあり)

物語のキーになるのは、ヒロインの美咲が人よりも早く老いてしまうこと。僕自身も、映像化する上で肝になる部分だと思っていました。小説では読んだ人が脳内で想像するので、ある程度フィルターをかけたりぼやかすことができますが、映像となるとダイレクトに表現しなければいけません。

CGや特殊メイクなど最先端の技術を取り入れて表現していただいた部分は、本当にすごい映像だと思いました。

あとは桜ですね。撮影のタイミングでは桜が咲いていなかったのですが、完成した作品ではCGによって満開の桜が表現されていて驚きました。それに、晴人と美咲がデートをしているときに、二人のまわりを舞う桜の花びらの表現はとても美しかったです。


――小説のアイデアを思いついたのは、20歳の頃だとか?

元々は中学生の頃から脚本家になりたいと思っていたんです。当時は三谷幸喜さんのドラマとかが大好きで、コメディ作家になりたいと思っていたくらい。何を間違って恋愛を描くようになったのかわかりませんが(笑)、大学生の頃になんとなくお話を考えているなかで、“生きる速度が違う二人の恋物語”は切ないかもな、と大学の廊下を歩きながら思いつきました。

あと、物語終盤の肝となるシーンの情景が、ふと頭に浮かんだんです。そのシーンを描くにはどのように物語を紡いでゆけばいいかを考えながら、逆算して小説を書いていきました。

(注)ネタバレ有り 推敲しながら泣いてしまう Netflix映画『桜のような僕の恋人』原作者・宇山佳佑のアタマの中_c
ヒロイン/松本穂香