青空食堂で好きなだけ頬張る、台湾流の朝ごはん

日本人観光客にも人気のエリア・迪化街の朝ごはんでぜひ訪れたいのが、「慈聖宮」。台湾で広く信仰される航海の女神・媽祖が祀られたお宮で、境内にはガジュマルの大木とともに十数軒の屋台やテーブルが並び、庶民の憩いの場になっています。

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青空の下でリーズナブルに食事できるうえに、お店を跨いだ注文も可能な、いわば屋外のフードコート。地元民や観光客がひっきりなしに訪れます(撮影:近藤弥生子)

昌さんのお気に入りは「葉家肉粥」のシンプルなお粥と、「魷魚標」の茹でイカ。

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左が茹でイカのお店「魷魚標」、右はお粥が有名な「葉家肉粥」(撮影:近藤弥生子)
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「葉家肉粥」の「肉粥(30元)」(写真左)は、レバーやエビ、カキのから揚げを添えていただくのがおすすめ。「魷魚標」はメニューが茹でイカのみで(写真上)、量を特大(450元)・一杯(400元)・一杯の半分(200元)から選ぶだけ(撮影:近藤弥生子)

昌さんは嬉しそうに朝ごはんについて話を始めます。

「今日、一軒目(「賣麵炎仔 金泉小吃店」)でイカを食べたとき、イカの足が入っていなかったことに気付いていたかい? 彼らは僕がイカの足を食べないことを知っていて、何も言わなくても胴体の部分だけを出してくれるんだ」

そして真剣な表情で私にこう話します。

「こんなに安いだけでもありがたいのに、心を尽くしてもてなしてくれるんだ。僕は彼らを心から尊敬しているし、これからも失われてほしくない。だからたくさん友人たちを連れてくるし、一人で300元は消費するようにしている。そして、自分の店では台湾の『小吃』(軽食)の価値を伝え続けるんだ」

大げさかもしれませんが、台湾の朝ごはんとは、“台湾の人情味を、最も濃く体験できるもの”のように思います。台湾へ遊びに来たら、ホテルの朝ごはんもいいけれど、街へ出て台湾の「小吃」を味わってみてくださいね。

慈聖宮 廟口街(ズーシェンゴン ミャオコウジエ)
住所:台北市大同區保安街49巷17號
営業時間:店舗により異なる 
定休日:不定休
「慈聖宮」敷地内の店に限り、店をまたいでの注文も可能。