とっておきの油飯にアヒルの卵の目玉焼きを載せて

「日本人はお米本来のおいしさにこだわるから、きっと違いがわかると思って」と、次に昌さんが連れてきてくれたのは、もち米で炊かれた、台湾風おこわと呼ばれる「油飯(ヨウファン)」の専門店で、三代続く老舗です。

「この店では、台北では珍しい品種のもち米を使っているんだ。胃にもたれにくいし、柔らかさも口当たりもちょうどいい。そして香りもいい」と昌さん。

醤油ベースのタレでトロトロになるまで煮込んだ豚バラ肉「滷肉(ルーロウ)」をかけて提供されます。油っぽさはほとんどなく、味付けもさっぱりめなのが特徴。日本人の口にも合いそうです。

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おすすめは途中から目玉焼きを載せ、箸で破ってとろりと流れ出した黄身を油飯にからめること。こちらの目玉焼きはアヒルの卵で作られるので、ねっとり濃厚。栄養価も高いのが自慢です(撮影:近藤弥生子)

そして昌さんのお気に入りは、いつも7〜8種類は用意されているという「小菜(小皿料理のこと)」。

「普通のお店だったら使わないような上質な素材を使って、手間ひまかけて作っているんだ。それなのに一皿たったの30元だよ、信じられる? 値上げした方がいいってずっと言ってるのに、全然値上げしないんだよ」と、豪快に笑う昌さん。

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いつも用意されている「小菜」。これだったら言葉が通じなくても指さしで注文できる(撮影:近藤弥生子)

昌さんは、いつもここで私と朝ごはんを食べた後、10人分くらいの油飯をテイクアウトして、また別の朝食店に差し入れしています。「この油飯が食べられなくなって困るのは自分だからね」――ひかえめなお店の方に代わり、長年お店を支えるファンでもあります。

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目玉焼きを自ら揚げ焼きする、先代オーナー(撮影:近藤弥生子)
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油飯(35元)に目玉焼き(20元)を載せ、2〜3皿の小菜(1皿30元)と、豚肉のとろみスープ「肉羹湯(55元)」とともにいただくのが昌さんのお勧め(撮影:近藤弥生子)

珠記大橋頭油飯(ズーチーダーチャオトウヨウファン)
住所:台北市大同區民權西路186-1號 
電話番号:02-2557-6503
営業時間:7:00〜14:00 
定休日:日曜