ローションを使った方が、気持ちいい

2018年の発売当初、「膣ケア」という文言とともに、いわゆるデリケートゾーンケアにまつわる色々な情報や製品が出始めた。日本における“フェムテック”の始まりとされるが、当時はまだ感度の高い人が「興味がある」と言っていた程度だった。

しかし、情報が多く発信されるにつれて、さらに多くの女性の状況が見えてきた。

現代女性は忙しく、いつでもセックスができる状況というわけではない。疲れて帰った時は、その気になれないこともある。だが、パートナーの誘いを無碍にすることもできず、痛みに耐えながら行っていた女性も少なくないようだった。

そうした女性たちの悩みが吐露されるようになるにつれ、「ローションがあった方が快適にセックスできる」という声が自然と増えていったという。共働きで妊活をするカップルや更年期以降の女性にも好評で、百貨店での販売時には、高齢女性から「何十年ぶりにセックスが楽しめた」という声をもらえるようになった。ゲイの中にも、オーガニックのローションを選ぶ人が増えていった。

セックスローションがオールセクシュアリティ向けということ、老若男女問わずに使用できるということが理解されてからは、さらに認知が広まったと感じているという。

バイアグラの普及で増加?「セックスが痛い」更年期女性に優しいセクシュアルローション_1
画像/スパイス・アンリミテッド提供
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「痛いから、セックスやめた」はもったいない

ローション開発を通してさまざまな人の話を聞く中で、「痛いから、セックスをやめた。そこからセックスレスに……」という人がたくさんいることを鈴木さんは知った。特に今、更年期以降の女性たちは、産婦人科は子どもを産む場所(産む人でないと行ってはいけない)と思っている人が多く、性交痛があっても産婦人科を受診しない傾向があった。

更年期以降は女性ホルモンが減少するため、潤い不足になるのは当然のこと。だが、膣は痛みがあってもなくても、乾いていることが良しとされない部位でもある。最近では婦人科系の病気や疾患を予防する観点から、産婦人科で定期検診をすることが推奨されているが、「推しの婦人科医を見つけるのもいい」と鈴木さんは言う。性交痛や不快感を感じたら積極的に受診したい。

また、病院で検査をするだけではなく、自分の膣状態を知り、自愛することも大切だ。自分の膣状態を知り、適切なケアをすることで、パートナーとの健やかな性生活や痛み、痒みのない快適さを手にすることができることもある。