今は「はねるのトびら」の貯金で食わしてもらっている

――YouTube番組『街録ch~あなたの人生、教えてください~』で、「芸歴26年目にしてクリエイティブなことに目覚めた」とおっしゃっていました。

根本では、なにか作品を残さなきゃいけないっていうのも思ったりはしてるんですよ。けど、ネタは相方が考えてくれてますし、自分はネタっていうことでもないかと。そしたら動画だったりそういうのをやんなきゃいけないんすけど、まあ、ホント怠けちゃいますね。

『クズころがし』(鈴木拓/主婦と生活社)の頃なんて、書き物もやりたかったですし、クリエイティブなことをやってるときは生きてる感じがしたんですよね。そりゃ、つらいですよ、そのときは。終わった瞬間、「もう二度とやりたくねぇな」と思うんですけど、時間が経ったら「こんなのやりてぇな」って、構想がどんどん出てきちゃってね。

――今後は動画や編集を頑張っていきたい?

75万円のパソコンを買ったのに、全然やってねぇすけどね(笑)。今日もゲームの生配信やってくれって言われてるんですけど、「べつにこれ、クリエイティブじゃねぇしな」って。人と違う風にはできるんですけど、かと言って、クリエイティブかって言ったらクリエイティブじゃねぇし。ただゲームやってるのを見せてるだけだから。

――釣りにしろ、ゲームにしろ、趣味を生かしているのがすごくいいですよね。

釣りを食い物にしてますよね(笑)。自分の好きなことをやらせてもらって、食えていけたらいいかなくらいです。若い子たちを見ると、大変だなと思いますよ。これから一発当てなきゃいけないでしょ。俺は一応、大嫌いでしたけど『はねるのトびら』っていうのがあって、今その貯金で食わしてもらっている。世に出ましたよっていう貯金ですかね。株が当たったというか。

――今日初めて釣りをしてみて、釣りって人生に似ているなぁと思います。人生というか、恋愛ですかね。魚との駆け引きとかもあるじゃないですか。

ちょっとしたアプローチでだいぶ変わってきますしね。

――食いつかれるかと思ったら、ダメだったりとか。

そうそう。向こうも命懸けですからね。

――「スレてる」(同じ場所で何度も釣られていると魚の警戒心が強くなり、ワームやルアーに興味を示さなくなること)とか、人間でも言いますもんね。

釣り用語から来てるんだと思いますけどね。「あいつ、スレてる」とか。あとね、釣りで大事なのはヤリマンを探すことなんです。

――アハハハハ! すぐに引っ掛かってくれる魚を狙うということですね!

で、どっか行っちゃうでしょ。「あのときヤッときゃよかったよ~」ってなる。……最低ですよね(笑)。

鈴木拓の最低な釣り論が展開されたところで、釣り場の人が営業終了を知らせに来た。気づけば周りにはだれもいなくなっており、ひぐらしが鳴いていた――。

「若い子たちを面白いと思えないっていうのは、時代が違うんだなぁって…」ドランクドラゴン鈴木拓が語る“50歳手前の芸人論”_3

文・撮影/尾崎ムギ子

「自分より他人を輝かせたい。だからマネージャーになりてぇ」ドランクドラゴン鈴木拓が46歳にして辿りついた“仏の境地” はこちら