終活は気力も体力もある50代にこそやるべき
整理には、「区別する」「手放す」という2つの意味があるそう。片づけと言えば、捨てることが一番だと思われますが、まずはあるもの全てを出して区別、次に捨てるという流れになります。全体を見ることで自分が何をどれだけ持っているかを把握でき、同じモノを重複して買うことがなくなります。
終活といえば、もっと高齢になってからやるものと思われがち。でも「気力も体力もある50代にこそやるべき」と中山さんは言います。終活は、これまでの人生を振り返って、積み重ねてきたモノやことを向き合うこと。それによって、これからどう生きるのかを考えるきっかけにもなります。そんな50代の終活について、より詳しく紹介したのが、『人生の後半戦を思いっきり楽しむための50歳からのリセット整理術』(集英社)です。50代は、ファッションも暮らしも大きく変化を迎える時。そんな時に片づけをはじめるのが、ちょうどいいと言います。
「50代は、体型や生活の変化によって、洋服のワードローブが変化しやすい時期。クローゼットも3~5年先を見据えてリセットをすると良いでしょう。キッチンは年齢を重ねるにつれ、取り出しにくい場所、分かりにくい・見えにくい場所が増えてきます。重複買いを防ぐよう、分かりやすい保管や収納をして、負担の少ないキッチンにするのが理想。また子どもが自立したら、子ども部屋を自分の部屋や夫の部屋に変えるのも良いですね」
高齢親への片付けのアドバイスは「安心・安全」を強調
一方、30代40代でも両親・義両親の終活が気になっている人も多いはず。高齢の親に片づけのアドバイスをするなら、「安心・安全」「話すことでモノへの気持ちを成仏させてあげる」ことが成功のポイントだと言います。
「片づけを始める前に、『家の中で事故がないように、安心・安全に過ごせるように使うものだけにして取り出しやすくしよう』と声をかけるのがおすすめです。大事にとってあったモノは、そのストーリーや思い出を聞いてあげることで気持ちを成仏させます。例えば、タッパーウェアをたくさん持っている人なら、『タッパーウェア、すごくたくさんあるね。どうしたの?』『大切に使いたいから数を減らそう』というアドバイスもできます」
ある程度片づけができたら、“ちょっとしたご褒美”もおすすめ。「お片づけのモチベーションが上がるように、使いやすい収納道具をプレゼントしてあげましょう。卓上や小物収納に使うなら、無印良品のポリプロピレン収納キャリーボックス、ニトリのハコブNインボックス オフィスなどがおすすめ。新しいグッズがあることでテンションもアップして、片づけが楽しみになります」。
人生を逆算して、面倒なことを先にやる
中山さんは30代で離婚を経験しました。その時から「20年後、30年後自分は何ができるんだろう」と考えるようになったと言います。面倒なことは後回しでだったのが、整理収納と出会ってからは考え方に、変化があったと言います。
「人生を逆算して、面倒なことから先にやっていこうと思うようになりました。それで40代50代を過ごしたら、60代はきっと素敵になるんじゃないかと思って。終活を若いうちからやっておくのも、同じことですよね。20代でも30代でも、何歳からやってもいいんです。そうしたらこの先、60歳になった時が黄金期になるんじゃないかなと。郷ひろみさんも“60代は黄金期”って言ってましたから(笑)」
(インタビュー後編につづく)
中山真由美さんの年表
1974年 神奈川県横須賀市に生まれる
18歳 高校卒業後、ホテル業界に就職、金融会社に転職
21歳 結婚、2DKのアパートで暮らす
22歳 自分の親と二世帯住宅で暮らすように
23歳 長女出産、退職
26歳 長男出産
30歳 離婚、住宅メーカーに派遣社員として復職
31歳 インブルーム株式会社に転職
32歳 自宅の片づけを機に、片づけに目覚め整理収納アドバイザー2級を取得。インブルームに、整理収納サービス部門を立ち上げる
34歳 整理収納アドバイザー1級を取得
36歳 LEEに初登場し、大反響を呼ぶ
37歳 『心も整う「捨てる」ルールと「しまう」ルール』(集英社)を出版
38歳 再婚、1年間の週末婚を経て同居する
40歳 『人生の後半戦を思いっきり楽しむために 50歳からのリセット整理術』(集英社)を出版
45歳 インブルーム株式会社退社。働き方改革と自分が目指す整理収納を進むためRittaStanz整理収納アドバイザーとして活動
48歳(2022) 整理収納サービスを訪問とオンラインで展開。また、大手企業の5Sコンサルティングや、整理収納アドバイザーさんの若手教育&起業コンサルティング、ハウスキーピング協会の協力団体として子ども向けの講座構築。4月より整理収納アドバイザージュニア2級講座Start
撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子