「3ラウンドやりきるって約束だったのに申し訳ないです」

「ブアカーオさんは“カチカチ”でした」キングカズ次男・三浦孝太、タイでのリベンジを誓う_01

この日、お披露目された新装ラジャダムナンスタジアムでは、3000人を超える超満員の観客が総立ちになっていた。


メインイベントとして組まれた“世紀のエキジビションマッチ”は、3ラウンド終了のゴングまであと30秒というところで、三浦孝太がレフェリーに抱きかかえられ、試合終了。想定外の一方的な結末に落胆を隠せない孝太は、悲鳴を上げる観客にもみくちゃにされながら控室にもどってきた。

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「3ラウンドやりきるって約束だったのに申し訳ないです」

所属するBRAVEの宮田代表が「レフェリーが試合止めるのは約束が違う」と息巻いたが、「ボクのスタミナが足りなくて、レフェリーも危ないと思ったんでしょう。レフェリーは悪くないです」「試合を盛り上げようとしてくれたブアカーオさんにも謝りたいです」と孝太。

バンテージを外した彼の足元をふと見ると、右足の向こう脛がみるみる腫れてくるのがわかる。

「ブアカーオさんは“カチカチ”でした」キングカズ次男・三浦孝太、タイでのリベンジを誓う_04

「蹴った瞬間、“痛ッ”てなって。ブアカーオさんの身体は、全身がカチカチなんです。体のどこなのかわからないけど、何度かおでこに硬いものが当たって。今ヘディングの練習した後みたいに痛いです」

「(試合開始の)ゴングが鳴って、グローブ合わせるのかと思って近づいていったらいきなり胸でドンてきて、もうそこから怖くなっちゃって…」

ブアカーオは明らかに仕掛けてきたのだ。「最初は様子見でゆっくり入って、2ラウンド、3ラウンドと上げていくから」と打ち合わせで話していた内容は、あっさり反故にされた。

空港や街中で女性ファンに囲まれて喜んでいた孝太は、この時初めて、自分が置かれた状況を理解したのだろう。後から写真を見てみると、孝太の目が怯えているのがわかる。彼を擁護するわけではないが、ブアカーオは本当におっかないのだ。

試合前日のマスコミ向け撮影会。二人を真後ろから撮っていたら、突然、ブアカーオが僕の方を振り返り、「あっちへ行け!」。その形相たるや、容赦なく獲物を食いちぎるワニガメの目だのようだった。

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ブアカーオは共用の控室でもスタッフ相手にスリーパーホールド決めたり、そこらの椅子を蹴散らかして取っ組み合いしたりとやりたい放題。それを笑いながらやっているのがまた怖い。

その足で、孝太のところに来ると「明日は思い切り来い! 顔に当たっても問題ない。カっとなったりはしないから。ちょっと強めにいくときもあるけど、本当には当てないから」と絶対王者の余裕を見せていた。