父は長崎で生涯交流する人たちとの出会いに恵まれ、充実した人生だった

長崎原爆を生き延びた郵便配達の少年が、被爆者運動のリーダーとなった経緯とは【ドキュメンタリー『長崎の郵便配達』】_8
イザベルさん一家は長崎原爆資料館や浦上天主堂などを巡り、原爆の実態を知っていく。
長崎原爆を生き延びた郵便配達の少年が、被爆者運動のリーダーとなった経緯とは【ドキュメンタリー『長崎の郵便配達』】_9
長崎原爆を生き延びた郵便配達の少年が、被爆者運動のリーダーとなった経緯とは【ドキュメンタリー『長崎の郵便配達』】_10
長崎原爆を生き延びた郵便配達の少年が、被爆者運動のリーダーとなった経緯とは【ドキュメンタリー『長崎の郵便配達』】_11
すべての画像を見る

──イザベルさんはお父様のこの激動の時代の話をいつ知ったのですか?

「私が小学生の時、イギリスからのジャーナリストが私の下校時に写真を撮りに来るようになったんです。それで父に、今日、知らない男の人が私の写真を撮りに来たのだと報告すると、そのとき、話してくれたという記憶があります。私の娘二人は、父が『Time and Chance』と言う自伝の中でこのことを執筆しているので、おそらく、本を通して、知っているようです。

私の家では、母の手前もあったと思いますが、父からあえて家族会議みたいに、この議題について語られたことはありませんでした。でも、子どもって、いつのまにか理解するもんですよね。『長崎の郵便配達』でその足跡が物語るように、父の人生というのは、スミテルさんをはじめ、長崎で生涯交流する人たちとの出会いに恵まれ、とても充実した人生だったと思います」

長崎の郵便配達

長崎原爆を生き延びた郵便配達の少年が、被爆者運動のリーダーとなった経緯とは【ドキュメンタリー『長崎の郵便配達』】_12

第二次世界大戦中の英独の空中戦「バトル・オブ・ブリテン」で目覚ましい活躍をし、イギリス空軍の英雄となったピーター・タウンゼンド大佐。退官後、国王のジョージ6世につかえていた際、マーガレット王女との恋が報じられ、激動の時代へ。別離後、フランスで家族を持ち、ジャーナリストとなった彼は、長崎で被ばくした男性、谷口稜曄(スミテル)さんを取材し、1984年にノンフィクション小説「THE POSTMAN OF NAGASAKI」を発表。

16歳の時、郵便配達中に被ばくしたスミテルさんは生涯をかけて核廃絶を世界に訴え続け、活動。今作ではタウンゼンド大佐の娘で、女優のイザベル・タウンゼントが、2018年に長崎を訪れ、父の著書と、取材時のボイスメモを頼りに父と谷口さんの友情を家族と共に追っていく様を記録したドキュメンタリー。

監督・脚本:川瀬美香

出演:イザベル・タウゼンドほか

2021年/日本/日本語・英語・仏語/97分/4K/カラー/2.0ch/
日本語字幕:小川政弘 フランス語翻訳:松本卓也
配給:ロングライド

©️The Postman from Nagasaki Film Partners
©︎坂本肖美

8月5日(金)より、シネスイッチ銀座ほか、全国にてロードショー公開

『長崎の郵便配達』公式サイト

オリジナルサイトで読む