早期改造の「隠れた目的」

8月10日、第2次岸田改造内閣がスタートした。その顔触れを見て自民党関係者がこうささやく。

「人事は俺が決めるんだ! という岸田首相の強い意志が見える。決断力がないと揶揄されることの多い首相ですが、今回は自身の総理総裁再選を見すえ、果敢に勝負に打って出たという印象です」

当初、内閣改造は9月上旬と見られていたのだが、なぜ、岸田首相は1か月も前倒しの人事を決断したのか?

一般的には、その理由として

①安倍元首相の国葬閣議決定、コロナ感染拡大、自民と旧統一教会との不適切な関係といった悪材料が重なり、内閣支持率が急落した。
②そこで、岸田首相は早期改造で人心一新し、支持率回復をめざす決断をした。

と解説されることが多い。

だが、前出の自民関係者こう指摘する。

「もちろん、支持率回復が急務だったことは言うまでもありません。でも、もうひとつ、隠れた目的がある。それは安倍元首相という重しが外れた今、政権運営に大きな影響をもってきた安倍派を巧みに弱体化させ、岸田カラーを前面に打ち出すきっかけにしたい。今回の改造人事前倒しにはそんな岸田首相の意図が透け見えます」

自民党秘書もこううなずく。

「ピンチはチャンスという言葉がある。たとえば、批判の強い自民と旧統一教会との不適切な関係ですが、その“汚染度”がもっとも深刻なのは安倍派です。岸田首相は茂木敏充幹事長を通じ、『旧統一教会との関係見直しに向け、適切に点検せよ』との考えを8月9日に党内に伝えています。

当然、安倍派に所属する議員は内閣や党の好ポストに処遇するのが難しくなる。つまり、岸田首相にすれば、統一教会との不適切な関係を利用して、人事で安倍派を冷遇することで、派閥を切り崩したり、弱体化させることができるんです」