給食の人気メニューにもなった
フミさん自慢のビルマ汁はいまや、地域の学校給食にもなっている。
「子どもたちにも食べてもらうことが、私の夢だったんです」
16年から年2回、益子町の小中学校でうどんと一緒に出されている。子どもたちには人気メニューのようで、
「みんなおかわりするから、ぜんぜん残らないんだって」
とフミさんは嬉しそうに話す。夏の暑い盛りに、たくさん野菜を摂れるビルマ汁は、子どもの栄養を考えたら給食にはちょうどいいのだろう。
とはいえフミさんも51年間に渡ってビルマ汁を作り続け、近年では広報大使となって普及に努めてきた。
「最近じゃトシで、疲れてきちゃった」
なんて言うのだが、声がかかれば張り切って腕を振るう。今度は10月に行われる栃木国体に提供するという話も持ち上がっているそうだ。まだまだビルマ汁を作ってもらわないといけない。
戦時中ミャンマーでは、インパール作戦をはじめ連合軍との激しい戦闘によって、およそ18万人の日本兵が命を落とした。一方で、日本占領下のミャンマーでは 17~25万人の民間人が戦争に巻き込まれて犠牲になったといわれる。それでもミャンマー人は、落ち延びた日本兵に飯を食わせてくれたのだ。その気持ちが、戦後77年経ったいまも、栃木のこの町に生きている。
取材・文/室橋裕和 撮影/泉田真人