相手の「収入や貯金」が気になるけど聞けない

<パートナーと将来のことを具体的に考えたいのですが、じつは相手の収入や貯金額を知りません。結婚前に聞くのは失礼でしょうか?>

パートナーとの間でも「込み入ったお金の話をするのはご法度」と考えている人は意外と多いようです。実際にネットで調べてみると、「結婚前に相手の収入を聞くのはNG!」と書かれた記事などを目にすることもあります。

ですが結婚、出産、子育て、家の購入など、すべてにおいてお金はかかります。収入や貯金額をどこまでオープンにするかは個人の自由だと思いますが、お互いの経済状況が見えないままでは、ライフイベントにどれくらいお金をかけられるかわからなくなってしまいます。それに、お互いの経済状況が共有できていないと、日々の食事や買い物の予算感もつかめないですよね。

私が新卒で入社したサイボウズという会社では、「質問責任」「説明責任」という考え方が社内文化として浸透していました。気になることがあったら相手の年次に関係なくきちんと尋ねる。そして聞かれた側は、ちゃんと答える。むしろ疑問に思っているのに質問しないことは、同じ会社で働く仲間としての責任を果たせているとは言えない。という考え方です。

収入や貯金は家庭運営や日々の暮らしに関わる重要なトピックなので、「質問責任」「説明責任」の精神で、気になるのであればお互いに開示したほうがよいでしょう。ポイントは聞き方です。

「ふたりの将来を考えるためにお互いの収入や貯金を知っておいたほういいと思うんだけど、どうかな?」

こんなふうに、「わたし」を主語にした「Iメッセージ」で尋ねることを忘れずに。「収入や貯金を知る」ことが目的なのではなく、あくまで目的は「ふたりの将来を考える」ことであり、そのための手段として知りたいと伝えます。

予想よりも低かったとしても、「どうしてこんなに貯金が少ないの?」「もっと稼ぎたいとは思わないの?」など、疑問形で責め立ててはいけません。状況を共有したうえで、「それならどうするか」を考えることが重要です。家庭運営の第一歩として、お互いの「予算」を見える化できるよう、情報の共有という視点で対話してみましょう。