155キロを投げた〝愛媛の怪童〟安楽智大(済美)
次にこの155キロを記録したのが、2013年、第95回夏の甲子園に出場した済美(愛媛)の2年生エース、安楽智大(現・楽天)だ。
小学6年生にして球速125キロを投げ、「愛媛の怪童」と呼ばれていた安楽。高校入学後すぐに140キロを投げ、1年秋にはもうエースナンバー「1」を背負っていた。
2013年春、第85回センバツ大会に出場すると、初戦の広陵(広島)戦で延長13回、232球を投げて3失点完投勝利。その後も、準決勝まですべてで完投勝利をおさめた。決勝では敗れてしまったが、この大会で記録した152キロは田中将大(現・楽天)などが記録した150キロを抜き、「2年生での甲子園大会史上最速記録」となった。
だが、安楽はこの数字に満足していなかった。高校に入学したときに掲げていた目標は、160キロを投げること。その目標に近づくため、さらにトレーニングを積んだ安楽は、愛媛大会で「157キロ」を計測。剛速球で愛媛大会を制し、夏の甲子園出場を決めた。
2013年夏、再び甲子園に戻ってきた安楽は、初戦でいきなり「155キロ」を計測。佐藤由規に並ぶ「甲子園大会史上最速タイ記録」に、甲子園球場は驚きに包まれた。
残念ながらこの大会後、右ヒジを痛めてしまって目標の160キロには届かなかったが、速球王・安楽の名は高校野球ファンの記憶にしっかりと刻まれた。その後、安楽以上のスピードボールは甲子園大会では生まれていない。