「専業主婦問題」は夫の問題でもある

意外だったのは、女性向けのメディアだけではなく、50代の男性向けの雑誌や若いビジネスパーソンのためのメディアからも取材を受けたことです。出版社には、「専業主婦願望の強い彼女に読ませます」という反響も来ているそうです。

専業主婦の家庭には、家事・育児を妻に丸投げして会社に滅私奉公する夫がいます。そんな男たちはいま、定年後の人生に大きな経済的不安を抱えています。50代のサラリーマンがどれほど必死に働いても、これから収入を増やすのはきわめて困難です。「専業主婦問題」は夫の問題でもあるのです。

そんな男たちは、経済的不安を解決するには妻に働いてもらうしかないと気づいています。しかしそれを自分から言い出すことができず、深夜のキッチンにこっそり私の本を置いておこうと考えるのでしょう。

「専業主婦は2億円損をする」というのは、「地球は丸い」のと同じたんなる事実です。

女性の就業率が100%にちかい北欧などでは「なに当たり前のこといっているの」と相手にもされないでしょう。それが日本で「炎上」するのは、「夫が外で働き妻が家を守る」という前近代的な性別分業が行き詰まっていることにうすうす気づいていながら、それを変えられない自分を否定されたと感じるからでしょう。