「カメラマン」はアサイメントの仕事を中心に撮る者

写真を撮る者のことをカメラマンといったり写真家といったりする。あるいはフォトグラファーという言い方もある。あくまで日本での話だ(そもそも、英語ではPhotographerと書く)。その使い分けは普段何気なく行われているが、それぞれに微妙に意味合いが違う。一般的に使われるカメラマンという言葉自体が英語ではなく造語、つまり日本語だ。私の場合、普段はカメラマンと名乗ることが多い。

例えば書籍や雑誌の編集者のところに電話をかけるときは必ず、「カメラマンの小林です」と名乗る。長年そうしてきたので、自然と口をつく。けっしてフォトグラファーや写真家と名乗ることはない。どうしてだろうか。長くアサイメントの仕事を中心としてきたからだ。では、この三つの呼称は具体的にどう使い分けられているのか。

カメラマンとは多くの場合、アサイメントの場面で使われる。フリーカメラマンという言葉もあるが、それもまたアサイメントの仕事を中心に撮る者を指すことが多い。さらに新聞社や雑誌社の社員、契約社員などもそう呼ばれる。少なくとも、写真家と呼ぶことはまずない。私がかつて所属していた新聞社でも同じだ。社員カメラマンを略して社カメと呼ぶこともある。

新聞社では、記者から撮影を依頼する撮影依頼伝票というものがまず写真部に来る。記者が必要に応じてそれを出すのだ。集まった伝票を写真部長がカメラマンに振り分ける。つまり、かなり受け身なのだ。

自分が持っているテーマや思考に沿ってオリジナル性の高い写真を撮るというよりも、依頼されたものを与えられた時間内に、記者の目的に沿って撮るといっていい。だから、自分のオリジナリティを封印して撮ることもある。