ロシア・ウクライナ情勢によりウッドショック再燃!

3月には、ロシアが「非友好国」に対してチップ・丸太・単板の輸出を禁止することを決定した。「非友好国」には、日本をはじめアメリカやEU諸国など48の国と地域が含まれる。

ロシアは、世界全体の2割の森林を保有する森林大国であり、欧州など木材をロシアからの供給に頼っている国も少なくない。

新築戸建ては2年で1000万円高騰!激震の「ウッドショック」の現況_5
出典:林野庁

輸出が禁止された木材について、日本はロシアからの輸入に依存しているとはいえないが、世界の木材不足を助長させるものには変わりない。日本も、間接的に受ける影響は大きいものと考えられる。

■一戸建ての価格は今後どうなる?

今後の一戸建て価格や日本の住宅業界を取り巻く状況について、長崎県で「マツケンホーム」を営む松下建設の松下宗司氏は次のように見る。

「経験上、一度上がった価格はすぐには下がりません。しかし、エリアによっても、工務店やメーカーによっても、木材の調達状況は異なるはずです。九州は木材が豊富で、林業も盛ん。ウッドショックは、国産材回帰の最後のチャンスでもあると思います。国と住宅業界、林業が一丸となって乗り切る必要があるでしょう」

国産材の安定供給推進への動きは、すでに見られている。林野庁は、木材不足と価格高騰への緊急対策として、2021年度、補正予算において木材乾燥施設の整備など国産材の安定供給に向けた措置を講じた。2022年度も、林業や木材加工・流通施設などへの支援措置を行う。

しかし、国産材の安定供給は一朝一夕には成り立たない。

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出典:国土交通省

昨今、「高騰基調が落ち着いたら……」と、マイホームの購入時期をうかがっている方も多いのではないだろうか。

しかし、ウッドショック、そして一戸建て以上に大幅な高騰を見せるマンション価格、さらには世界的なインフレ傾向や利上げの状況……これらを踏まえると、決断を先延ばしすることが正解とは限らない。

マイホーム購入では、国内外情勢や市況などのマクロな視点のみならず、ミクロな視点を持つことも重要だ。ウッドショックに関しても、松下氏が言うように、建築を依頼する工務店やハウスメーカーの木材調達状況や価格、納期にも目を向けるべきだろう。

加えて、さらにミクロな視点となる「家族」のライフプランや意向も大切に、マイホーム取得時期を検討してもらいたいと思う。

取材・文/亀梨奈美