『オモウマい店』名物Dが語る、大衆店にこだわる理由_2
店のメニューを安くしすぎて赤字、その補填のために店主(バイク運転手)がウーバーイーツに励む「居酒屋たざわこ」。そんな本末転倒なお店を丁寧に掘り下げ、店主の魅力を伝えてくれる番組だ

初日から急遽、アルバイトに……「味のイサム」密着秘話

埼玉県羽生市にある人気の中華料理店「味のイサム」。名物は“元祖”と刻まれた豚のから揚げで、豚と鶏のから揚げが約20個、タワーのように積み上げられた「Wから揚げ」は、そのボリュームと950円という安さがウリ。
地域住民の胃袋を満たす人気店として知られるこのお店を取材したのが、大柄な体型と黒縁メガネがトレードマークの片桐ディレクターだ。ディレクター歴は5年目の片桐氏は、「2階が自宅の店は安くてうまい」という仮説からお店を発見。
「許可取りなどは比較的スムーズに行きました」と当時を振り返る。そして「味のイサム」放送回と言えば、店主の清彦さんから依頼され、片桐Dがアルバイトとして働き始める展開が見どころだ。

 「もともとランチタイムは混雑していたのですが、取材初日、普段アルバイトをされている方が急遽、体調不良でお休みを取ることになったんです。店主さんや奥様、ほかの従業員の方々も本当に困っていたので、意を決して厨房に入ることにしました」(片桐D)

二日目からは「味のイサム」Tシャツも配布され、ADと共に皿洗いや食事の配膳、注文、掃除など手伝いを重ねていった
片桐D。その中で店主やその家族とも打ち解け、一回目の密着取材を終える頃には、家族同然の関係性を築くように。
当初「店主さんは中京テレビがどこにある局かもわかっていなかったと思います(笑)」と片桐Dが言うように、実際に放送されるまでは、この密着がどのように放送されるのか、「家族も不安がっていた」という。だが、全国ネット、ゴールデンタイムで放送された効果は、お客さんの数というもっともわかりやすい指標で現れた。

 「普段から混んでいるのに、さらにお客さんが増えたんです。それを喜んでくれましたし、“味のイサム”さんを取り上げたのは番組の開始当初だったので、僕としても良い影響があったことにホッとしました」(片桐D)