若者が組織化することが唯一の解決策
ーー人口構成に占める若者の割合が少ない中で、若者の影響力を高めるにはどうしたらいいのでしょうか?
社会の一部の人たちがより大きな影響力をもつためには、3つの方法があります。
1つ目は、政治参加です。多くの場合、それは「誰か」や「何か」が全てをまとめることを意味します。それらが異なる勢力を一つに団結させるのです。
2つ目は、(若者たちを)集結させる団体を増やすことです。イギリスで大きな問題となっているのは、例えばサッカーチームのファンクラブなど、家族以外の一般的なグループの数が大きく減っていることです。政党に限らず集団活動自体が大きく減少しているのです。
3つ目は、経済的なパワーを使うことです。しかし、日本やイギリスなどにおいて一定の経済力を持ち合わせているのは、むしろ高齢者です。おそらく彼らの経済的利益が、パワーをもつ勢力と結びついているからかもしれません。
とにかく、この問題を解決するには若者が組織化することしか方法はありません。さらに、若者全体が政治に参加するようにならなければなりません。
高齢者も巻き込んだ社会運動を
――「ジェネレーション・レフト」には、若者が失敗したのは他の世代を巻き込めなかったから、との記述がありました。若い世代が社会運動をする場合、高齢者を巻き込んだやり方がいいのか、それとも若い世代が自立したやり方がいいのか、どちらが良いのでしょうか?
若者の運動には高齢者も含まれなければいけません。若い人たちは自分の関心ごとを表現しなければなりませんが、同時に年配の人たちの経験から学ばなければなりません。年配の人と若い人の利害を対立させないようにまとめる方法を考えることが重要です。
そのためには、新しく斬新な考え方が必要です。若い人と年配の人の利害を一致させるのです。それができなければ、私たちは一層、深刻な問題に直面することになると思います。
問題にしなければならないのは、大金持ちが政治に及ぼす影響力です。例えばロシアでは億万長者、すなわち「オリガルヒ」が新聞を所有しています。そして、彼らは政治的な議論の方向性を支配しています。それがいかに問題のあることかはわかると思います。
億万長者が新聞を所有し、高齢者がその新聞を読み、両者の物質的な利害が一致する。一度、この状況ができてしまうと、非常に抜け出しにくいと思います。しかし、高齢者が敵だと考えていては、世界の問題は解決しない。彼らは潜在的な味方であると考えるのが一番でしょう。
ーー最後の質問です。日本では、若者の投票率が30%程度と低いのですが、彼らにメッセージをお願いします。
日本の若者に伝えたいのは「我々は現在、混乱の中にいる」ということ。そして、誰も私たちを救いに来てくれないということです。個人、社会、世界が直面している問題に対処するために、基本的には自分から行動しなければなりません。
行動し、組織化し、政治に関心を持ち、もちろん投票もしなければならない。誰も私たちの問題を解決してくれません。私たちは自分たちで問題を解決しなければならないのです。
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日本は、なぜ左傾化しないのか?イギリスの政治学者に聞いてみた【キア・ミルバーン】
https://youtu.be/MlltCLWMlOc