「焼き菓子担当です」木村沙織、バレー引退後の幸せすぎるカフェ経営_b

──現在、大阪の北堀江でご自身のカフェ・バー「Sunny -ThirtyTwo-Club」を、元バレーボール選手で旦那様の日高裕次郎さんと営んでいます。開店までのエピソードを教えてください。

私が引退した当時、夫の仕事の関係で奈良にいて、私も仕事でたまに東京にいくことがあり、二人にとって動きやすいエリアが大阪だろうという話し合いのもと、お店を開く場所として北堀江に辿り着きました。夫は鹿児島県、私は東京都出身なので、特に大阪に縁もゆかりもなかったのですが(笑)、周りに同年代のショップオーナーやスタッフが多く、すてきな出会いや巡り合わせがたくさんあって、北堀江に来てよかったと夫と話しています。

──もともと夫婦お二人で開く予定だったんでしょうか?

もともとは一人で、飲食をやりたい人を募って経営しようと考えていました。ただ、家族でできたら安心なので、ふと夫に「一緒にカフェ、やらない?」って聞いたら、やろうと言ってくれて、すぐに会社を辞めてきました(笑)。

──やさしい旦那様!

最初は少し心細かったこともあり、夫が一緒なら安心なので、ちょっとホッとしました。彼はビーチバレー選手時代に、8年間焼肉屋さんの厨房で働いていたことがあるので、すぐに調理担当として採用(笑)。今は、店舗の運営や調理、来店記念として始めたグッズ制作などを一手に引き受けてくれています。私は今、お店で提供する焼き菓子の担当をしています。

チームワークも気遣いも、
選手として学んだことは今でも生きている

──カフェが人間関係を生む場所になっているんですね。カフェのスタッフ、または焼き菓子担当者としてのやりがいは?

私は製菓学校で勉強したり、どこかのパティシエで修行したりしたわけではないので、毎日ひとつずつ丁寧に、心を込めてお菓子を焼いています。材料を自分の好みの分量に調整して、季節によって配合を変えて、つねにおいしいと思っていただけるものをお店に出したいと思っています。13時から焼き菓子の提供が始まるのですが、営業中に「お菓子売れ切れました」と報告をもらうとすごくうれしい! オープン当時からお菓子を食べてくださっている常連さんがいて、「日に日においしくなってるね。粉変えた?」と声をかけてくれたりするのが幸せです。そんな時は自然と次の日の仕込みにも力が入りますね(笑)。

──木村さんのインスタグラムに載っている焼き菓子を見るたび、食べたくなります!

ありがとうございます。きれいな部分だけを写しています(笑)。あと、オーブンを開けてきれいにお菓子が焼き上がったときは、「今日はすてきな一日になりそう!」「今日は最高な日になる!」と一人で盛り上がっていますね(笑)。たくさんの人に食べてほしいなってワクワクしてお店に並べに行きます。今は焼き菓子担当として裏方に徹しているのですが、たまに店頭でお手伝いをしているときに、お客さんの笑顔を見るのも嬉しいですね。


──「Sunny -ThirtyTwo-Club」を開いてよかったと思うことは何ですか?

バレーボールで築いた人間関係が、東京から離れることで少し薄れてしまったと感じていました。チームの仲間も結婚して家族を持って住む場所も変わっていくので、簡単に会えなくなってしまいます。そんな中、私がカフェを開いたことでみんな先輩や後輩たちが立ち寄ってくださる場所になったんです。私や夫を含めて、みんなの居場所ができたということが本当にうれしくて。知り合いがたくさん遊びに来てくれる中で、私の知り合い同士が仲良くなって、違うお仕事につながるなど、お店が出会いの場になっていることも大きな喜びですね。

──バレーボールとカフェ、似ているところがあるとすれば…?

バレーボールで学んだことは、チームワークや人への思いやり。家族も会社もすべてにおいてその二つは大事だと思っています。例えば、バレーボールなら次にタッチする人のことを考えてボールを丁寧に上げますし、カフェなら次に使う人のためにきれいに整えておくなど、根本は一緒です。

違うことといえば、点数といった目に見える勝ち負けがないこと。自分たちで目標を立てれば立てるほど、どんどん良くなっていきますし、もうここまででいいかと思ってしまったらそれなりのレベルのままです。点数がない分、評価を得るために大変な部分は多いですが、自分たち次第でいくらでも可能性を広げられることが面白いですね。