人間が好きでないと苦労する

ボビーは言う。

「隊員の期限が終わる3年後は、グリーンツーリズムや農業ができる民泊を営むのも面白い。農業は農作物によっては必ずしも通年、フルタイムで働かなくてもいいので、人手が必要な時期に手伝うスタイルもアリだと思う。

ロサンゼルス育ちの僕は、田舎暮らしの経験はないが、庭作りも薪割りも今はYouTubeやSNSの中に先生がいる。買い物も、アマゾンやメルカリで都会と同じものが手に入る。

ここには流行りのレストランはないけど、新鮮な食べ物を安く調達し、友達とバーベキューができる。田舎なら空き家がいくらでもあるし、ネットワークさえあれば、他の地域や国に移り住むことも難しくないと思えてきたよ」

マユコも、移住とここでの暮らし、馴染むコツについて話してくれた。

「今のSNSがある世の中だからこそ、移住できたと感じています。国内外の多くの友達が、SNSにアップした写真や投稿を見てコメントをくれるから、都会ともつながっていると感じられます。それがなかったら、きっともっと孤独だし、誰も見てくれる友達がいない環境で、お洒落をする気もおきないでしょう。

一方、田舎は都会と違い、町の住民が全員知り合いというぐらい、ご近所付き合いが密接です。人間が好きで、地域の人と仲良く暮らしたいと思えないと、苦労するかもしれません」

プラネタリウムのような満点の夜空と澄んだ空気、水。農家さんからもらえる新鮮な野菜。夏になれば川遊びができる仁淀川町の暮らしでカイはのびのびと育ち、ボビーとマユコも癒やされている。

これから自由に選べるとしたら、あなたはどんな場所に住みたいだろうか。

コロナ禍で仕事が激減。高知県に移住した一家を待ち受けていたもの_5
川で遊ぶカイ(手前)とその親友