住居費が14万円→実質0円に

地域おこし協力隊とは、総務省が主体となり、希望者が都市地域から過疎地域等へ住民票を移し、地域協力活動を行いながらの定住をサポートする取り組みだ。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期は1年以上3年未満。

隊員一人当たり480万円を上限とする地方交付税が自治体に交付される。隊員はそのうちの「報償費」を給料として自治体から受け取る。月額の報償費は自治体によって違うが、おおよそ20万円程度。それ以外は「活動費」として、家賃補助などに充てられる。

一旦、東京に戻った夫婦は話し合った。本当に移住するなら、カイが小学校へ上がる前がいい。ボビーは地域おこし協力隊員に応募することを決める。

その後はトントン拍子だった。2021年2月に受けた隊員の書類選考と3月のオンライン面接に合格。4月15日に初出勤が決まり、一家は仁淀川町の住人となった。

コロナ禍で仕事が激減。高知県に移住した一家を待ち受けていたもの_2
息子カイ、そしてその親友と一緒に庭作りをするボビー

町での最初の住まいは、移住者用のシェアハウスだった。同居人は、やはり東京から移住してきた女性。家賃は無料で、そこに住みながら引っ越し先を探した。

家は1、2カ月もすれば見つかるだろうと高を括っていたが、そう簡単ではなかった。仁淀川町には不動産屋というものがない。ボビーの同級生曰く、「町の人と仲良くなれば、空き家の情報など教えてもらえるよ」。

実際にその通りで、半年が経つうち、周囲の人たちに気心を知ってもらえると、「◯◯さんのところが空いているよ」などという情報が入ってくるようになった。3軒内覧したうちの1軒、8畳2間に6畳が2間、家賃無料(3万円まで活動費から補助)の築30年の民家に住むことを決めた。新宿区の家賃が14万円だったことを考えると、生活費は大幅にコストダウンできた。