新鮮な野菜に満点の星

移住にあたって夫婦が一番心配していたのは、カイが地域の幼稚園に馴染めるかということだった。しかし、心配は杞憂だった。移住後すぐ仲良くなった、元地域おこし協力隊員の息子と同じ保育所に入ることができたのだ。

町には幼稚園がないが、1クラス10人未満のその小さな保育所は、先生の目が子ども全員に行き届き、他の子ども達もおっとりしていて優しかった。

コロナ禍で仕事が激減。高知県に移住した一家を待ち受けていたもの_3
師走には近所のお宅でお餅つき

ボビーは地域おこし協力隊員として、健康な土壌と農作物の関係を研究するなど、地域活性化のためのアイデアを一つ一つかたちにしていく仕事に勤しんでいる。移住当初は教育委員会から依頼を受けて、保育所、小学校、中学校で英語教師のサポート業務も受け持っていた。

マユコは自動車免許を取得。大学で専攻し、以前住んでいたカナダ・トロントでも続けていた金属工芸の作品作りを再開しようとしている。山の上にある炭焼き小屋だった建物を、タダ同然の破格な家賃で借り、家具などを設え、自分のアトリエとして改良中だ。

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マユコのアトリエとして改良中の炭焼き小屋内部

地域の人達は親切で、度々野菜をどっさりくれたりする。天気の良い日の夜空はまるでプラネタリウムのように、満点の星が見える。そして、クワガタ、ムカデ、カメムシ、足高クモなどに交じって、今まで図鑑でしか見たことがなかったカラフルな虫が、次から次へと現れるのだそうだ。それも含め、家族全員、ここへの移住生活に大満足して暮らしている。