村元哉中の涙

そして迎えた2年目、かなだいは真価を見せ、またアイスダンサーの絆を深めていった。

NHK杯、ワルシャワ杯では、立て続けに歴代日本得点記録を更新。フリーダンス、悲恋を描いた「ラ・バヤデール」は会心の出来だった。全日本選手権ではリズムダンスで悔いが残ったが、それでも着実に進化を示した。そして2022年1月の四大陸選手権では、日本勢史上最高の銀メダルを勝ち取った。

「昨シーズンから考えると、表彰台は想像もつかなかったです」

四大陸選手権後、髙橋は感慨深げに振り返っている。

「シルバーメダリストになったうれしさの半面、悔しさもすごくあって。そんな自分にびっくりしています。やっぱりゴールドメダル、表彰台の真ん中に立つのを、ふたりでやってみたいというのは芽生えてきていますね。その先にもいろいろな景色が見られるんじゃないかなって。表彰台に上がると、そうした欲も感じています」

駆け抜けてきた二人は、世界選手権に出場する栄誉を得た。結成2年目としては快挙と言えるだろう。しかし二人はそれに少しも甘んじず、16位は「不本意な成績」だったようだ。
「(全日本よりも)世界選手権のほうが私は悔しくって、ホテルに帰ったら自然に涙出てきて」

村元はそう明かしていたが、改善への欲求が二人の進化の源だ。

「いい練習で自信をもって挑んだのにミスが出てしまって、なんで⁉って悔しすぎて。全日本、四大陸、世界選手権と何かしらミスあって、思い描いていた演技をできない悔しさが積もり積もったんだと思います。友達やお姉ちゃんからの『おつかれさま』『よかったよ』ってメッセージ見た時、わっと来て泣いて。泣いた後はすっきりで爆睡したんですけど(笑)」

二人は同じ性格ではない。しかしどちらも明るさを失わず、ポジティブに物事をとらえる資質に恵まれている。それが2年目での躍進につながった。