戦争における殺戮は正当化される
かつては、戦争による被害は今と比べれば軽いものでした。犠牲者の数も今と比べたら少なかったのです。しかし、今日の兵器は恐ろしいもので、その被害は甚大なものになります。都市全体や数十万人の住民が、文字通り数秒で消し去られてしまうこともあります。
一部の核保有国には、人類全体を滅ぼす能力さえあります。「普通の」兵器でさえ、一国のすべての住民を殺戮し、破壊する力を持っています。
私は戦争を憎んでいます。なぜなら、それは人々、主に罪のない人々を殺すことだからです。私たちはひとりの人間を殺すことを殺人という罪とみなします。しかし、戦争における数千人、あるいは数百万人の殺戮については、正当なものとしてしまうのです。
殺戮者たちは、英雄とさえされています。これは正しいことではないはずです。私たちは、兵士を派遣して人々を殺させる人々もまた、戦犯としてあつかう必要があります。
こうした理由から、私たちは防衛戦争を除くあらゆる戦争を犯罪とし、戦争を起こす者を処罰するためのキャンペーンを開始しました。
このキャンペーンを推進するため、私たちは「戦争の犯罪化」に向けた取り組みに特化したNGO(The Kuala Lumpur Foundation to Criminalise War:KLFCW)を2007年に設立し、雑誌も発行しています。これを通じて、より多くの人々、特に「砲弾の餌食」として利用されることになる若者たちに、戦争の犯罪性と、それを非合法化する必要性を理解してもらいたいと願っています。
私たちは、紛争の平和的解決を最優先とする反戦文化を浸透させなければなりません。戦争を道徳的に間違ったものとしなければなりません。戦争は原始的です。それは成功を収めるために野蛮な人々が採る手段に過ぎません。
現代の文明化された社会において、戦争をする余地はありません。戦争は、私たちに与えられた自然の恵みを傷付け、破壊し、すべてを荒廃させます。戦争を仕掛ける者たちは野蛮人と何ら変わりなく、最も厳しい処罰に値する犯罪者として非難されるべきなのです。
著者/マハティール・モハマド 編・訳/久志本 裕子













