「遅刻するな」の先に、教えるべきことがある
二つ目は、時間を守ることです。約束の時刻をどれほど厳密に受け止めるかは、育った社会や生活環境によって違います。5分、10分の遅れを深刻に考えていなかった人が、日本の職場で厳しく叱られ、戸惑うこともあります。国籍だけで決まる話ではありません。
コンビニは、交代で働く職場です。次の人が来なければ、前の人が帰れない。店を出たあとに授業や家族の迎えがあるかもしれません。「少し遅れただけ」が、同僚の予定を崩すことにつながります。時間を守る理由を、こうした具体的な影響と結びつけて説明したいのです。
それでも、電車の遅延などで間に合わない日はあります。本書に登場する西麻布のオーナー・坂本さんは、遅れそうな時の電話のかけ方まで教えていました。
「すみません。電車が遅れて、店に着くのが十分ほど遅くなりそうです」
まずは丸暗記でも構いません。遅れると分かった時点で店へ連絡し、理由と到着の見込みを伝える。誰に、いつ、何を言うのかまで教えて、初めて行動に移せます。
連絡があれば、店側も交代の調整を考えられます。何も連絡がなければ、遅れるのか、休むのかさえ分からない。「遅れるな」と叱るだけでは、その場の反省は引き出せても、次に困った時の対応までは身につきません。仕事のルールは、守れなかった時の伝え方と一緒に教える必要があります。













