箸をつけて怒る客、箸を欲しがる客
「なんで箸なんだよ!」「普通はフォークだろ」
パスタを買った客に箸を渡したところ、強い口調で怒られた。私が実話をもとにした新著で描いた、ネパール人スタッフ・ラメス君の経験です。本人は、「日本人はみんな箸を使うと思っていた」と言います。食べる道具を添えたつもりが、なぜ叱られたのか。そこが分からなかったのです。
共同通信が2024年5月に報じた集計では、大手コンビニ3社で働く外国人アルバイトは8万人を超えました。スタッフの8割が外国人だというオーナーの事例もあります。すでに外国人は、日々の営業を支える存在です。
ただ、日本の生活習慣にまだ慣れていない人がレジに立てば、客との行き違いが起こることもあります。その時、「外国人だから接客が分からない」で片づけてしまうと、本当の問題を見失います。
パスタにはフォーク。それが自然だと感じる方は多いでしょう。しかし、箸で食べたい人もいます。同じ物を渡しても、喜ぶ人と怒る人がいる。商品と食器の組み合わせを暗記するだけでは、対応しきれないのです。
私がこの事例から考えてほしいのは、スタッフが何を知らなかったかに加え、教える側が何を説明してこなかったか、ということです。日本人同士なら通じると思っていることほど、言葉にして教えられていません。その説明のない部分で、新人は立ち往生してしまいます。













