税金を足し続ける負担に終わりはない

政府のAI・半導体支援は、2030年度までの7年間で10兆円以上という計画だ。小林氏は南鳥島沖のレアアース開発にも、Xで「大胆な投資」を求めた。

海外に頼るものがあるたびに、工場にも原料にも税金を足していけば、国民の負担には終わりがない。国産化のために、費用を度外視してよい理由はない。経済安全保障という名で、産業育成への巨額支出を正当化することに反対する。

私が問題にするのは、政府が選んだ企業には税金を付け、他の企業には自力で競わせる仕組みだ。競争条件が役所の判断で変わり、判断が外れた損失は納税者にも及ぶ。
企業の将来を役所が見通せるという前提にも、私は立たない。顧客に売る力より国の予算を取る力がものをいう経済にしたくない。

中国の産業政策を調べた研究は、支援先の拡大が国全体の稼ぐ力を高めるとは限らないことを示している。

IMF(国際通貨基金)が公表したワーキングペーパーで、ガルシア=マシアらは、補助金や税の優遇など、中国の支援を金額に換算すると、2011~2023年の年平均でGDP(経済の大きさ)の約4%に上るとした。

さらに、支援によって資本や労働の配分がゆがむことで、中国経済全体の総要素生産性(TFP)が、産業政策がない場合に比べ約1.2%低下すると推計した。

もちろん、中国を対象にした研究結果をそのまま日本や沖縄に当てはめることはできない。それでも、公的支援が必ず国全体の生産性を高めるわけではないという警告は重い。

支援先を育てれば強い経済になるという、小林氏の論理の飛躍には賛成できない。政府が選んだ産業へ税金を注ぐ成長論を、沖縄に持ち込むのはやめてもらいたい。

税金を注ぐ成長論を沖縄に持ち込むな

外資系企業による高級リゾートホテルの建設ラッシュが続く沖縄
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沖縄にはシンガポールから学んでほしい。あの国も企業に補助金を出しているが、私が取り入れたいのは、働く人の力を育て、海外の会社も仕事を始めやすくする取り組みだ。

学校では語学や数学を学ぶ機会を広げ、家庭にお金がないために、進学や仕事のための勉強を諦めずに済むようにする。沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究を、県内企業の商品や仕事につなげる人も育てたい。

国の規制が妨げなら、地域を限って規制を緩める特区制度を使い、見直しを求める。働く人や事業を始める人の困りごとから予算を組むべきだ。

観光では、地元の食材や商品をホテルが買いやすいよう、品質をそろえ、必要な量を届けられる仕組みを整える。客のお金のうち、いくらが地元企業の利益や従業員の給料になり、いくらが県外への支払いに回ったか。