「辺野古容認」だけでは買えない行政能力
安全保障では、基地負担の軽減と周辺情勢への対応を同時に考えなければならない。
古謝氏は辺野古移設を容認し、国と連携して普天間飛行場の危険を取り除く立場を取る。しかし、辺野古容認という立場だけで、古謝氏の行政能力まで高く買う気にはなれない。
経済政策を読めば、別の不安が湧いてくる。「手取り2倍」「子育て支援2倍」「観光消費2倍」。
古謝氏は1人当たり県民所得を231.5万円から500万円へ、県こども未来部の予算を552億円から1000億円へ、観光収入を1兆747億円から2兆円へ増やす目標を掲げた。政策集には120項目が並ぶ。
「県民所得」の数字が語らないもの
県民所得は、県民雇用者報酬、利子や配当などの財産所得、企業所得などからなる。県も個人の給与や実収入を表す数字ではないと説明している。だから、この数字が増えても、各家庭の手取りが同じ割合で増えるとは限らない。
231.5万円を仮に10年で500万円にするなら、名目で年平均約8%の伸びが必要だ。物価上昇で数字だけ膨らむ分も区別しなければ、暮らしが豊かになったかどうかは分からない。
観光や建設が県内の主要な雇用部門であることは承知している。気になるのは、県外のホテル運営会社や予約サイトも使う観光の仕組みの中で、県内企業の利益や従業員の賃金をどう増やすのかだ。
客数や工事額だけを追っても、この問いには答えられない。地元への発注額や働く人の所得まで追う必要がある。
古謝氏の政策集にはAI、量子技術、海洋産業、起業支援もあり、民間投資や観光の質の向上、教育、規制改革にも触れている。私の問題意識と重なる項目もある。問題は、個々の政策の費用と所得への効果を結び付けた試算は、公開された政策集では確認できないことだ。
古謝氏を応援する自民党の小林鷹之政調会長の産業政策に、私は反対する。
小林氏は2025年12月の党のインタビューで、民間企業が自発的にイノベーションや投資に取り組む形を理想としつつ、半導体などについては民間に任せすぎたと主張し、「投資額を超える税収が見込まれるような戦略的な財政出動」を求めた。私は、これは政府が重点産業を選び、公的資金で成長を後押しする発想だと考える。













