参院自民との軋轢…浮上する「林芳正総務相」の存在

2つ目の懸念点は、参院自民党との軋轢だ。参院ではいまだに与党過半数割れの状態が続き、円滑な国会運営のためには、参院自民党との連携が不可欠だ。しかし、高市総理は26年度予算が年度内に成立できなかった一因は、参院自民党側にあると考えて、石井準一参院幹事長と距離を取っているとされる。

「高市総理に対して、周囲が『石井氏とよく話し合ったほうがいい』と助言しても、どうもうまくいっていないようです。こうしたなか、新聞各紙がここにきて、石井準一参院幹事長の処遇について報じています。

自民党の参院人事は、党則上、参院会長が決めることになっており、総裁であっても手をつけられなかった“聖域”です。仮に総理の意向が作用すれば、参院側の反発を招きかねない。こういう話が出てくること自体が好ましくないのです」(自民党参院ベテラン)

高市総理は8月28日に、チームみらいの安野貴博党首と会談し、AIの活用について指導を受けるなど、独自の動きも見せている。

「ただ、いま参院では4議席足りない状態。チームみらいの会派は、参院で2議席。高市総理は国民民主の玉木雄一郎代表とケミストリーが合わないとされる。国民民主を含めた連立拡大よりは、チームみらいなどを含めた少ない議席をかき集めていく方が現実的という判断なのでしょう。泉房穂参院議員が立憲会派を離脱するなど、新たな動きもあります」(前出・自民党参院ベテラン議員)

8月28日、安野党首らから「AIの家庭教師」としてサポートを受けた高市総理(写真/首相官邸Xより)
8月28日、安野党首らから「AIの家庭教師」としてサポートを受けた高市総理(写真/首相官邸Xより)

そして、内閣改造を巡ってもう一つ注目されているのが、林芳正総務相の処遇である。林氏は、党員票の獲得のため精力的な地方行脚を続けるなど、次期総裁選出馬に意欲を持っているとされる。9月1日には外国人特派員協会で会見し、日中関係やSNSの問題などについて流ちょうな英語で、持論を展開した。

自民党の重要閣僚経験者は「現職総理のライバルの立場で要職に就くのは、リスクになる面がある。林さんが来年の総裁選に出るなら、閣僚や党役員でない立場で、自由に動いたほうがいい」と語る。

過去を振り返っても、2021年に政調会長だった下村博文氏が出馬しようとしたものの、当時の菅義偉総理に「総裁選立候補か、政調会長辞任か」を迫られたことがあった。

「現時点で林さんの求心力はそこまであるわけではないが、参院の旧宏池会(旧岸田派)は、林さんでまとまっている感じがある。林さんはもともと参院議員を長く務めていたし、高市総理が参院自民党との関係が悪くなれば、林さんに流れる可能性もある。

また、本音では、維新との連立解消を望む自民議員は少なくない。来年の総裁選で、林さんが『維新ではなく国民民主と連立を組み替える』などと言い出せば、状況次第では一定の支持を集める可能性もある」(前出・自民党参院ベテラン議員)

注目される林芳正総務相の処遇(写真/本人公式Xより)
注目される林芳正総務相の処遇(写真/本人公式Xより)
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はたして、高市総理は林氏をどう処遇するのか。そして、それに対して、林氏はどう対応するのか。内閣改造の大きなポイントになりそうだ。

取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班