失踪から戻り会社は辞められたがうつになり…

会社で責められ、この世から消えたくなったというエンジニアの石崎智展さん(48)。ある日、SNSに「皆さん、さようなら」と書き込み、スマホの電源を切って失踪した。

向かったのは熱海だった。子どもの頃、祖父と旅行した楽しい思い出があったからだ。

夕方の熱海の港。写真はイメージです(写真/Adobe Stock)
夕方の熱海の港。写真はイメージです(写真/Adobe Stock)
すべての画像を見る

現地で場所を調べるため、一度だけスマホの電源を入れた。すると、「今から迎えに行く」「待ってろ」という友人たちからのメッセージや着信がたくさん入っていた。

「ちゃんと私を心配して待ってくれてる人がいる。それを見て救われたんです」

失踪から3日後、石崎さんは自宅へ戻った。そして、会社に「もう無理です」と退職の意思を伝えた。

ところが、石崎さんによると会社側から強い引き止めを受けたという。最終的には友人の力を借りて、どうにか辞めることができたが、その後は何をする気力もわかない。うつ状態で家にひきこもった。

失踪から戻ったもののうつ状態で家にひきこもった石崎智展さん(写真/集英社オンライン)
失踪から戻ったもののうつ状態で家にひきこもった石崎智展さん(写真/集英社オンライン)

「自分は相手の要望に添うように頑張って仕事しているのに、それを認めてもらえない。責められたり怒られたりしても、誰にも守ってもらえなくて自分の存在価値を感じなくなっちゃう。それで人に会うのが怖くなって、ひきこもっちゃったんですね。

子どものころから、『あれもダメ、これもダメ』と厳しく抑制されたり、頑張っているつもりでも評価されず、理不尽に怒られたりして、常に親や人の顔色をうかがっていました。

それが、後々うつになったことにも、つながっているんだと思います。頭痛、めまい、お腹にくるとか、体に症状が出るのも不登校になったときと似ていましたから」