ひきこもりから脱した考え方「マイナス×マイナス=プラス」

うつ状態になると、何年もひきこもってしまう人も少なくない。

石崎さんも、一時は寝たきりになるほど症状が重くなる。それでも、半年~1年ほどすると再び働き始めてきたという。

当時は医療機関にもかかっていなかったというが、本人は、そうした時期をどのようにやり過ごしていたのだろうか。

写真はイメージです(写真/Adobe Stock)
写真はイメージです(写真/Adobe Stock)

「最初はただただ寝続けるんです。

うつのときは何を考えてもマイナスになって、『消えたい』とか『死にたい』とか思ってしまうんですけど、『なんでこうなったんだ』って考えても、ずっとマイナスのループになって、結論なんか出ない。そうなったら、強制シャットダウンするしかないんですね。

だから、私の場合はとにかく寝る。酒を飲んで寝る。あとはめちゃくちゃ難しいゲームをやって、ほかの思考を一旦遮断する。

そうやってリセットすると、全部は無理でも一部は忘れられたりするじゃないですか。マイナスを1個ずつ減らしていくと、気持ちもちょっと上がってきて、『おいしいラーメンでも食いに行ってみるか』とか少し動く気になるんですね」

そんな石崎さんには、自分を追い込まないために使っている、もうひとつ独特な考え方がある。

「マイナスとマイナスを足すとマイナスだけど、マイナスかけるマイナスはプラスになる」というものだ。

「それも詭弁っちゃ詭弁だけど、計算上ではそうなるんだもん(笑)。例えば、『やる気が出ない』し、『将来も見えない』。どっちもマイナスですよね。

でも、そんなときに無理やり頑張ろうとすると、もっと苦しくなる。だったら、そのふたつを掛け合わせて、『今は動かないのがベストなんだ』と考える。つまり、動けない自分を責めるんじゃなくて、“今は休む”というプラスの判断に変えるんです。

だから、やる気がないときは、『もういいや』っつって寝る(笑)。今は動かなくていいと決めると、けっこうスッキリしますよ」

うつ状態から自分なりの思考方法で脱した石崎智展さん(写真/集英社オンライン)
うつ状態から自分なりの思考方法で脱した石崎智展さん(写真/集英社オンライン)

何度もひきこもりを経験しながら、そのたびに少しずつ社会へ戻ってきた。そうした過去を語る現在の石崎さんは、よく笑い、冗談も交えながら話す。特殊な環境で育ったとは信じられないくらい、前向きで明るい。