独裁は銃口から生まれる
スペースXの創業者イーロン・マスクやアップルの創業者スティーブ・ジョブズが、意に沿わない部下に対してその場でクビを言い渡す(ジョブズの場合は「steved(スティーブする)」)姿は、よく知られています。彼らをはじめ、数々の著名な実業家の苛烈な性格が注目の的となることは少なくありません。
こうしたリーダーの姿勢は、たんに彼らの性格によるのでしょうか。その可能性は否定できませんが、実際には、こうした方法がとられる背景には、それが独裁を維持するために重要だからという側面もあります。
いろいろな独裁国家の社会情勢を思い浮かべるとき、真っ先に挙がるのは、その抑圧的な統治手法ではないでしょうか。韓国と北朝鮮の男女の恋愛を描いた大人気韓国ドラマ『愛の不時着』では、北朝鮮の人民班の様子が描かれています。
人民班長とされる女性が、人びとの生活をチェックします。もし、異文化に関するものをもっていたり、体制に悪影響を及ぼすようなルール違反があったりした場合、その人は処罰の対象となります。
ジョージ・オーウェルのディストピア小説『1984』でもビッグ・ブラザーが人びとの行動をつねに監視しています。また、日本のみならず世界中で親しまれる『ドラえもん』でも、自分にとって邪魔な人をこの世にいなかったことにできる「どくさいスイッチ」という秘密道具があります。
ウガンダの独裁者だったアミンは、ウォーターゲート事件の渦中にあったリチャード・ニクソン米大統領に対して「国家の安定が危機に陥ったとき、唯一の解決方法は、残念なことだが、敵対している奴らの頭目を牢獄にぶち込んでやることだ」と述べたそうです。アミンの発言からも明らかなように、独裁者は反対派を封じるために、抑圧を行なうのです。
では、こうした行動はなぜ重要なのでしょうか。それは、自らに反対する者を口封じするだけでなく、独裁者(になろうとする者)を、半ば強制的に支持させることにつながるからです。また、見せしめにより、自らに反対する声は次第に縮小していき、安定した独裁体制を敷くことが可能となるのです。
モンゴルのチンギス・ハンは、降伏しなかった町の人びとを皆殺しにし、それを他の町に知らせました。それにより人びとは恐怖におびえ、彼に抵抗することはなくなったと言います。中国の毛沢東は「政権は銃口から生まれる」と述べました。独裁もまた銃口から生まれることを理解しておく必要があるでしょう。
では、どのような人が自分にとっての脅威になるのでしょうか。













