弱点を克服したかっぱ寿司の行き先は?
かっぱ寿司は長い時間をかけてリブランディングに取り組んできた。シャリやネタの品質を上げ、店舗の改装も段階的に行なってきた。弱点を克服することに力を注いできたのだ。
リブランド前のかっぱ寿司は、価格訴求力を最大の武器にしてきた。しかし、当時は現在以上に低価格を実現するためのコスト管理を重視していたとみられる。2008年ごろの原価率は30%台後半で、同時期に40%台後半だったくら寿司とは10ポイント前後の開きがあった。
現在のカッパ・クリエイトの原価率は40%台後半まで上昇しており、商品にかけるコストという点でも当時とは状況が大きく異なる。
かっぱ寿司は2017年に食べ放題を導入したが、その狙いの一つには、リブランディングで向上した商品の品質を消費者に知ってもらうことがあった。2017年に食べ放題を初めて提供する際、以下のようにアナウンスしている。
「リブランディング以来、ネタの品質向上に取り組んでまいりました。「食べホー」では通常提供している商品と全く同じ品質の商品をご提供しております。美味しくなったかっぱ寿司のお寿司を、思う存分ご堪能いただけます。」
提供品質には自信を持っていたが、現在は低価格化へと傾斜しているように見える。しかし、低価格化による客数の増加は危うさを秘めている。その成功体験から抜け出せなくなることがあるからだ。
くら寿司は客数の減少が顕著だ。2026年の客数は5月以外の月はすべて前年を下回っている。特に6月、7月は10%以上も減少した。前年同月に実施した大型コラボの反動など、特殊要因があったことは確かだが、力強さには欠けている。
くら寿司では客単価が上昇する一方、客数の前年割れが目立っている。今年度上半期は客単価が5.4%増加したのに対し、客数は3.9%減少した。9月4日からは価格改定を実施。「サーモン」などを税込115円から税込120円に値上げ。いっぽうで一部商品を値下げして価格のバランスを調整した。
くら寿司はスシロー以上に、価格変更がファミリー層の来店判断に影響する可能性がある。くら寿司は「ビッくらポン!」など子どもが楽しめる仕掛けを強みとしており、会社自身もファミリーでの利用が多いと説明している。
ファミリーの場合、1皿のわずかな値上げであっても、トータルの支払い額は大きくなりがちだ。しかも、子どもを持つ家庭ほど節約志向は高い傾向にある。9月からの価格調整で客数がいかなる変化を見せるのかは、くら寿司が今後進む道を占うものになるだろう。
「安いから行く」のではなく、「この価格でこれだけのものが食べられるから行く」。消費者にそう思わせることができるかどうか。値上げが避けられない時代において、この違いが回転ずし各社の明暗を分け始めている。
取材・文/不破聡 写真/shutterstock













