オンラインでは被害者との関係を作りやすい

 ――ネットによって見知らぬ他人と接触しやすくなったことで、性被害が急増しているということでしょうか。

 確かに、デジタルツールは知らない人とつながる機会を飛躍的に増加させました。ただし、必ずしも加害者は見知らぬ人とは限りません。例えば、教員と生徒などリアルな知り合い同士がSNSやメッセージアプリで密かにかつ頻繁にやり取りをして関係を深め、性被害に発展していくパターンもあります。

 ネット上での「二人だけのやり取り」は、わいせつ目的で子どもを懐柔する「性的グルーミング」にはうってつけです。リアルな場でも性的グルーミングは行われますが、関係性が外から見えなくなったことで、加害者は周囲の目を気にすることなく性的グルーミングを行えるようになり、被害の状況が気づかれにくくなっています。

 ――性的グルーミングとは、どのように行われるのでしょうか。なぜ被害者は「手なずけ」られてしまうのでしょうか。

 性的グルーミングの加害者は、性的行為の前に、被害者に「偽の愛情」を示し、関係を深めていきます。特に思春期の子どもたちは、不安定な家庭環境や友人関係から孤独を感じたり、自尊心を持てなかったりすることも多く、ネットに悩みを書き込んだら、「話を聞くよ」「家にいたくないなら泊めてあげるよ」などと言われて、加害者に接近してしまうこともあります。

 性的グルーミングを受けた子どもは加害者の「偽の愛情」を信じ込まされているので、自分が被害に遭っていることに気づきにくく、加害者との関係を維持したがるなど、その影響は深刻です。オンラインで性的グルーミングを受けると、親密なやり取りの中でセクスティングやセクストーションに容易に発展するだけではなく、実際に対面し、身体的な性被害に至る確率が高いという調査もあります。