現代の日本人の多くはたんぱく質も脂質も不足している

本来なら「もっと肉を食べましょう」と言うべき状況だったにもかかわらず、日本の医療界はアメリカ式の肉悪者論をそのまま輸入し、「肉や脂質は控えなさい」というメッセージを繰り返し広めてしまいました。その結果、「動物性脂肪は悪いもの」「コレステロールは体を傷つけるもの」というネガティブなイメージが社会に強く根付いていったのです。

こうした歴史的背景もあり、動物性のガラや肉から出汁を取り、表面に脂が浮くラーメンは、真っ先に危ない食べ物の仲間入りをしてしまいました。濃厚なスープやチャーシューを見るだけで「脂が多い」「コレステロールが怖い」と条件反射のように思い込んでしまうのは、この刷り込みが大きく影響しています。

ところが実際には、現代の日本人の多くはたんぱく質も脂質も不足しています。血管や筋肉を作る材料が足りなければ、かえって老化が進みやすくなるばかりか、血管がもろくなって破れやすくなり、免疫力も落ちてしまいます。

つまり、本来必要な栄養が不足している状態なのに、誤った常識によってさらにそれを避けてしまっているのです。ラーメンのスープ(動物性の出汁)やチャーシューは、決して一律に排除すべき悪者ではありません。

それどころか、現代の日本人に不足しがちな栄養を補うための貴重な栄養源の一つであり、健康を支えるための有効な選択肢として、改めて再評価してもよい食材と言えるのではないでしょうか。

ラーメン悪者論をさらに強固にしたのが、日本固有の脳卒中への強烈な恐怖です。1950〜70年代、日本では脳卒中が死因のトップであり、国民病と呼ばれるほど大きな社会問題でした。当時は救急医療体制も十分ではなく、一度倒れればそのまま命を落とす、あるいは助かっても半身麻痺や寝たきりになるというケースが珍しくありませんでした。